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閑話休題(8) 温泉街の憂鬱

これはこれまでの文章とはちょっと違うのですが、まだ就職する前に書いた文章をどうぞ。
それ以前に書いた文章は、この「温泉街の憂鬱」も含めてこちらにアップしているのですが、内容的に今は考え方がちょっと違うなとか、新たに発表するのが照れくさいものもあるので改めてこちらに残すことはしません。

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 温泉、といえば卓球! といっているようではまだまだ甘い。
 そう! 温泉といえば何と言っても古いゲームでしょう。

 99年2月のことであった。晴れて大学卒業が決定し少し時間ができたので、友人(♂)と二人で群馬県の水上温泉へ行くこととなった。当然、山の上であるから雪があった。自分の車の雪道性能も確かめたいと思っていたところだったので、雪の多い方が良かった。
 温泉浴場は、友人が知っていたので探すのは楽だった。ふつうの温泉宿だが、我々のような日帰り客も受け入れてくれたのでありがたい。そこで風呂に入り、休憩室で一服でもしようかと思ったそのとき、私の目に入ったのは往年の大ヒットゲーム『ゼビウス』ではないか!
 その横を見ると、『パックランド』『ギャプラス』も置いてあった。私は狂喜乱舞し、しばしノスタルジーに浸りながら楽しんだ。
 温泉に置いてある古いゲームは、レバーの反応が悪い。筐体も中の基盤もかなり使い回されているのだろう。でも、ゲームそのものはちゃんと動くし、とても楽しませてもらった。

 温泉旅館。そこは時が止まった、といって語弊があるなら、時の流れが今と平行して10~20年程遅れている世界だ。とても平成の世にいるとは思えない雰囲気がそこにはある。大村昆の出ているオロナミンCの看板、昔懐かしいRoyalcrown Colaの看板、大原麗子の出ているボンカレーの看板、今ではテレビで見かけなくなったが昔活躍していた歌手のディナーショー、おそらくは一昔前の卓球ブーム(今のではない!)の時に買ったと思われる卓球台、そして雪印の瓶牛乳、コーヒー牛乳、そしてカツゲンの小瓶・・・宴会場に行けば、8トラックのカラオケ、そして私が生まれる前に流行したのであろう曲の歌詞カード。
 設備が最新でも、古く見えてしまうから不思議なのである。

 「その役割を終えた」として「引退」するもの、8ビットパソコン、ゲーム、機械、列車、船、動物・・・・・そして、人。
 だが、まだ使える、そう思ったとき、そのものの価値を考えてみれば、なんのなんのまだまだ使いでがあるではないか、などと感じてしまうのである。古くなったパソコンでしかできないゲームがある。機械だって下取りに出せば欲しがる人だってたくさんいる。列車なら改造して店でも始めるか・・・、さんざっぱら走りまくって疲れ切った名馬たちも今、この北海道に何頭もいる。そうやって競馬ファンの心を和ませているではないか。もちろん種牡馬としての役目だって忘れてはいけない。

 私も、いずれその存在としては古いものになるであろう。しかし、そんな取り残された「想い」を忘れずに生きていければとても幸せに生きられるであろう。古いことは悪いことだけではないのだ。

 そんなことを考えていると、テレビから懐かしいメロディがいくつも流れてきた。歌こそ、いつまでも残らなければならないものだろう。そして人々の心の中に残ることを運命づけられているものだ。 
 その番組の名は「20世紀カウントダウントップ10」というものだったが、上位にいたのはここ6~7年の曲ばかりだった。単純にレコードの売れ行きからだけ判断するとこうなる。今の曲の方が枚数が売れているのは、日本人(子供たち、と言い換えても良い)が金持ちになったこと、それと歌謡曲の価値が軽薄になったことを考えれば当たり前だ。
 30年後に人々の耳の中に残っているのは果たしてどちらか? 戦う前から答えは明らかだ。

決して今の歌謡曲に心に残る曲がない、と言っているわけではない。数自体はそんなに変わらないであろう。ただ、今テレビで取り上げられている曲の殆どは、いずれ忘れ去られる運命にあるだろうといっているのだ。要は比率の問題だ。

 結局私は、いつまでもその価値が変わらず、心に残り続けるものをこれまでの人生の中で探し続けてきたのかもしれない。そしておそらくはこれからも・・・ なぜならそこに人生の、そして人間の真実があるからだ。

 温泉街。そこは外界とは時の流れを異にする空間である。

2000年9月23日 記

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