ちょっとしたお勉強の記録

日本プライマリ・ケア連合学会

Nec_0252_6

この週末,札幌で行われていました.

私はというと実はまだこの学会,入会していなかったものですから,今回は行かないつもりでした.しかし,LEARN先生から「非会員とかはあまり関係ないよ」とのお誘いをいただき,せっかくなので出席(というより潜入ですね(((^^;)させていただくことにしました.

午前中は他に用事があり1日目の会場到着は16時すぎになってしまいました.

いろいろ回っていたらあまり落ち着いて一般演題は聴けませんでしたが,ナイトセッションには参加させていただきました.

日曜日は午前中はポスター発表をメインに聴いてました.

その後は,その筋には有名な城西大学の井関友伸先生の講演.行政・住民意識の問題について.夕張の件も話に出て,法人に対する市の対応を「敵対行為」と称し手厳しく批判していました.また「行政組織は過去の問題を解決するのは得意だが,現在の問題を解決できない」とし,何故行政が医療問題を解決できないのかを詳しく分析されていました.

ただ,私としてはそういった行政や住民意識との齟齬は医療スタッフが逃散するような自治体ではどこも抱えている問題で,夕張はそれが先鋭化された例だろうと思っています.もっともそういう現実を白日の下にさらけ出し表面化した,という点は「夕張希望の杜」の功績の一つと考えています.他に誰もやってこなかったことですし,夕張特有の問題というわけではなく実際にはどこにでもある問題ですから….

午後は,福井県立病院の林寛之先生(同門の大先輩ということになりますが…)の救急外来での「地雷疾患」の講演.我が同門のトップを走る先生方は本当に講演や講義がうまい…というか個性的.少しでも参考にしたいものです.

で,終了後,会場(ロイトン札幌)のはす向かいの駐車場で,夕張希望の杜の永森先生にいろいろお話を伺うことができました.

ほか,初めましての先生方や先輩後輩などとの再会もありました.(残念ながら昔とは相当体型が変わっているせいであまり気づかれなかったのかも…(;ω;))

こういう全国学会のいいところは,学会発表を自ら行う,そして聞くことで知識のbrush upになる,というのももちろんですが,それ以外に学会の中で公式にはできなかったり,発表時間の関係で端折られてしまった部分の裏話を聞いたりするのも勉強になるものです.

というわけで参加者の皆様大変お疲れ様でした.おつきあいいただいた皆様本当にありがとうございました.

H-FABP(「ラピチェック®」)の偽陽性~保険診療と医療水準の狭間で~

心筋梗塞の診断の補助に使われる血液検査として、
CK-MB、血中トロポニンTとならんで、急性期心筋梗塞診断の補助として使われるのが
表題のH-FABPですが、

http://intmed.exblog.jp/9526097/

このブログエントリーをみると、特異度65%…
わかりやすくいいなおすと、心筋梗塞でない人で陽性となる可能性が35%
つまり、20人中7人が陽性に出てしまうのです。

しかしながら、この検査が役に立たないということでは決してありません。

逆に発症早期の心筋梗塞を検出するということについては、
血液検査の中では優れたものとしての評価が高いのです。

なので、上記ブログでは、ほかの検査と併せて施行することによって
心筋梗塞の補助診断として大変有用であると結論付けています。

しかしながら、この検査の併用、保険制度上認められていないのです。

心筋梗塞は見逃せば命にかかわるし、医療訴訟…場合によっては刑事訴追の
可能性もあり、かかわった医者の職業生命だって危うくなります。

心筋梗塞は、その意味で「過剰診断」の許される疾患とされています。

しかしながら、それもあまりに度が過ぎると当然、引き受ける側の専門病院や専門スタッフにも
多大な負担となってのしかかることになります。

さて、現在の医療訴訟判例では、保険適用と医療水準とは全く別のものと考えているようです。
つまり、必要と思った治療はたとえ保険適用外であってもやらなければならない、ということです。

しかしながら、現状で保険適用の検査・治療と、保険適用外の診断・治療を同時に行うことは、
「混合診療」として、固く禁じられており、違反した場合には保険医療機関の剥奪もありえます。

つまり、現状では保険適用と法律上要求される医療水準のあいだにグレーゾーンが存在することになります。保険給付に当たっては必ず、支払い側による審査がありますが、そういうグレーゾーンの検査・治療だって、現状保険が財源不足にあえいでいる状況では容赦なく切られます。(つまり、保険からの支出として不適当なので、病院が自腹を切りなさい、と判断される)

件の検査併用も、ここ数カ月くらいで、私の勤務する地域でもガンガン切られるようになりました。でも、やらずに心筋梗塞を見逃すリスクを考えれば、やってその分の検査を自腹にした方が、病院が負うコストとしては安いのです。

それ以上になによりも、病院経営上の理由で検査を怠ったことで失われた患者さんの命は、決して戻ってくることはありません

もちろん、心筋梗塞の初期診断には、症状、心電図、心エコー所見がまず優先されますし、FABPの保険適用云々の話など、小さなことにすぎないのかもしれません。

しかしながら、現状日本国民がきちんと認識しておくべきことは、

現状の保険制度は

国民皆”法的に要求される医療水準を下回る医療しか保証されない”保険制度

であるということです。

これは不十分だから壊すべきものなのか、
それとももう少し充実させるべきか、
あるいはたとえ不十分だろうが維持していくべきものなのか、
あるいはそもそも法的に要求される医療水準そのものが実は医療経済的に無茶な要求なのか…
その判断は国民一人一人が考えるべきことと思います。

私は不十分ながらも維持しつつなんとか改善を、と願っていますが…

低用量アスピリンと便潜血

http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-af3f.html
低容量アスピリンが便潜血(免疫化学法)にもたらす影響

岩田先生のブログより.

感度(実際に大腸癌のある人のうちの便潜血陽性者の割合)が上がり,
特異度(大腸癌のない人のうちの便潜血陰性者の割合)はほぼそのまま,だそうです.

ちなみに私の施設では当日発見即ポリープ切除をやっているので,
冠動脈の薬剤溶出ステント留置直後などのハイリスク症例などでない限りは
ルーチンでアスピリンは止めています.

ただ,これは今回の話とは違う話なので…と一応補足.

ちなみに原著(お金けちってabstractしか読んでませんがf^_^;)はこちら

あと、アスピリンと大腸がんのあいだの関係を検討したものとして、こんな論文もあるようですね。

いずれもごく最近のものです。

インフルエンザと妊婦

抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査中間報告

絶対過敏期にタミフルを投与した症例で,妊産婦全体に比較して流産率の上昇や胎児異常の明らかな増加を認めなかったとのこと.

日本産科婦人科学会では抗インフルエンザ薬の妊婦に対する早期からの使用を推奨していた.

まだまだ症例数が少ないので更なる調査も必要かとは思うが,貴重な情報であると思われます.

上気道炎類似疾患と抗菌薬

昔,小児科研修で「風邪に抗菌薬?馬鹿じゃないの」と罵倒されたのを思い出しながら読みました.最近は当直でしか小児を診てないので,いい復習になります.

小児上気道炎および関連疾患に対する抗菌薬使用ガイドライン

ベポラッブ…

以前某ショッピングモールを歩いているとこの薬が目に入って、家内と「これ本当に効くのかねぇ」などと話していたら、なんとこんな論文が出てきてしまいました。なんとタイムリーな…。

情報源はこちらのブログです。要約がさらに日本語で要約されわかりやすくなっています。

もちろん風邪自体がこれで早く治るとか、そういった効果を期待することはできませんし、自分で治療にそのまま応用しようとは現時点では思っていませんが、「へぇー、こんなこともあるんだ」くらいには読ませてもらいました。

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック