ダウンサイジング

「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)(4終)

承前

4,小規模病院・少人数の医師に支えられる地域医療

今回対象となった病院に勤務する常勤医の数をまとめてみました。
なお、情報ソースは「北海道医療機能情報提供システム」なので、
いくぶん、現状とズレがあるかもしれない部分はご容赦ください。

Photo_20191013190701

54医療機関中、半分以上に当たる28医療機関が
常勤医師3名以下となっています。

とくに常勤医師1名~2名のところでは、
かなり過酷な環境(平日毎日当直とか、万年オンコールとか、盆・正月に1~2日以外地域からほとんど出られないなど)に
なっていることが予想されます。

もちろん各市町村において医師招聘を行うことでこういった事態はその医療機関は解消されますが、
基本的に医師招聘合戦は限られたパイの奪い合いなので、
この事態を最終的に解決するには、やはり「病院」の集約化や、診療所化とサテライト化を並行して行う以外の
解決策は難しいと思われます。

【雑感とまとめ】

・道内の病床機能分化については、各病院・自治体の不信感を払拭すべく努力を継続していく必要がある。

・医師偏在トップ3である、宗谷・根室・日高については、地域枠卒業生等による充足が期待されるが、
 長期的に維持可能な医療体制の構築は未だに課題として残ったまま。

・北海道の、とくに道東・道北における医療機関の集約化は、【広域分散・寒冷積雪】【不便な地域公共交通】
【公立・公的医療機関に依存する医療供給体制】【小規模病院・少人数の医師に支えられる北海道の地域医療】のほか、
 各自治体の抱える事情により決して容易ではない。

・しかし、効率的な医療の提供と、人的医療資源の疲弊防止の観点から、広域的な視点での医療提供体制の再構築は必要。

・そのためには丁寧な議論、住民の理解を得ることと並行して、医療周辺のインフラの整備もこれまで以上に行っていく必要がある。

以下、今回の分析の限界を示します。

・医療機関間距離はGoogleマップの経路検索で機械的かつ手作業でまとめたので、
 実際に予想される患者の受療行動を必ずしも反映しない場合があり得る。
・医療機関同士の距離なので、医療機関がカバーする圏域の広さが反映されない。
・内科標榜医療機関の医師の専門が必ずしも内科とは限らない(他科医の「なんちゃって内科」を除外できない)
・通院の困難さは距離だけでは測れない(鉄道やバスの有無、本数を反映しない)
・有床診でも積極的に急性期を診ている施設もあるが、それを反映していない。
・病床機能のデータが29年7月1日現在である(それ以上新しいデータが未公表)
・軽傷外傷はプライマリの受診先を科や属性で特定することが難しい。
・直近の急性期病院については病床機能報告上のものなので、実際にはもっと近い
 「回復期」「慢性期」病院で急性期入院診療が行われている場合もあり得る。

なお、今回グラフ作成に使用した生データをここからDLできるようにしておきます。
すべて公表されているデータに基づくものなので、ご自由にお使いいただくとともに、
編集の多くは手作業ですので、誤りについてはご容赦ください。
(もし誤りを見つけたら、ブログサイト右下のメールか、コメント欄にご一報いただけると幸いです)

以上ですが、最後に、北海道、とくに道東がどんな世界かを示す
「It's 北海道」というべき画像を提示して本稿を終わります。

Jusco110km
※いろいろなまとめに転用され、原典がわからない画像です。もし、著作権等主張される方がいらっしゃいましたらご一報ください。

「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)(3)

承前

2,不便な公共交通

Jr_20191013182701

 左がJR北海道のサイトから拝借した路線図、右が道内の再検証対象医療機関54箇所の分布図(再掲)です。
 そして、フリーハンドで囲ったのがJRの通っていない、あるいは長期不通となっている場所に存在する病院です。

 オホーツク海沿岸、中~北部根室、そして、日高東部~十勝南部、十勝北部の一部、岩内~松前の日本海側各医療機関が該当します。

 JRが通っていなければ、自家用車を持たない人の通院手段は必然的にバスや乗り合いタクシーとなりますが、
 こういった地域のバスはたいてい1日3~4本で、まさに「吉幾三」の世界です。

 このような地域の医療機関を再編・統合を進めるにあたっては、
 一定の配慮が必要となります。

3,医療供給体制の公立・公的医療機関への依存

 北海道のとくに地方の医療の大きな特徴として、
 地域医療の大部分を公立・公的医療機関に依存している自治体が少なくないということがあります。

 それを示すデータを下記に示します。

Photo_20191013184601

データは、図上をクリックして拡大して御覧ください。

上段が「自治体唯一の内科標榜医療機関」、つまり、これをなくすと
町内にかかりつけ医がいなくなる、という医療機関です。
全道単位で再検討対象公立・公的医療機関の3割弱、道東・道北では4割弱が該当します。

下段は「自治体唯一の有床医療機関」、つまり、これをなくすと
町内で入院できなくなる、という医療機関です。
全道単位で再検証対象公立・公的医療機関の6割、道東・道北では実に85%近くが該当します。

なぜ、「自治体唯一」とあえて特出しにしたのかというと、
こういった医療機関の維持は、
該当する市町村にとって、市町村政上の最重要課題に位置づけられている現状があるからです。

実際に、
オホーツク管内雄武町の町長選挙にあたって、町立国保病院の常勤医を1名から2名に増やすことを
公約とした新町長が当選したわずか数日後に、当該病院が名指し公表されてしまったのは
まだ記憶に新しいところです。

ここらへんやはり「解いておくべき誤解」がありまして、
「再編統合」というのは、マチから医療機関をなくすこととイコールではなく、ダウンサイジングや回復期などへの機能転換、
診療所化なども含めた話であり、
厚労省が示したのは「再編統合が必要な医療機関」ではなく、「再編統合の必要性について特に議論が必要な医療機関」です。
そして、地域にとっては、維持可能な医療体制のために
「何を残すために、何を手放すか?」この議論を真剣に考えなければいけないということです。

例えば、「ここがなくなったら血圧の薬をもらいに20km離れた隣町までバスで行かなければいけない」とか
そういう次元の話ではないし、そういう話も含めて地域でしっかり議論されるべきなのです。

続く

 

「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)(2)

承前

北海道の医療の「広域分散性」についての考察の続きです。

ア,外来診療機能

 これは例えば、風邪などの急病や、血圧などの慢性の病気の医療を行う機能で、
 おそらくもっとも皆さんには身近なものと思います。

 ではさっそくデータを示します。

Photo_20191013164801

 このデータは、今回名指しとなった54施設の中で、
 島内に内科医療機関が他にない奥尻島国保病院以外の53施設を対象としています。

 多くの医療機関が同じ町内に別な内科医療機関を持っていることがわかります。
 だからといって、キャパシティの問題もあるので、代替可能性があるとかなくなってもよいということではありません。
 一方で、直近の内科標榜医療機関まで10kmをこえる医療機関が53施設中17施設あることにも注目です。
 最長は図に示すとおり35.3kmですが、猿払村国保病院がなくなったとして、
 住民のみなさんが浜頓別に行くとはちょっと思えません。恐らく大部分が稚内に行くのではないでしょうか。
 しかし、だからといってこのデータが実態を反映しないデータなので役に立たないというのは早計です。

 住民の皆さんはこれ以上の距離の移動を余儀なくされるわけですから、
 北海道の「広域分散性」を示すデータとしてはこれで十分と思っています。

 ただ、この内科外来がなくなるということは、実質的に病院そのものが消滅することを示しています。
 実際にはこれまでの、道内で病院が維持できなくなったケースでも
 その大部分は有床または無床の診療所化、あるいはサテライト診療所などとして
 生き残っているわけですから、そういう意味での医療機関の必要性と、残すための方策は
 十分地域で話し合う余地があるのではないでしょうか。

イ,急性期入院診療機能

 これは病院の「病院」たる所以であるコアな機能です。
 この機能を失うということは、「回復期」「慢性期」病院として生まれ変わるか、
 あるいは有床または無床の診療所化するということになります。

 では、データを示します。離島である利尻島国保中央病院、奥尻島国保病院を除く52施設を対象としています。

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 これは、厚労省が毎年行っている病床機能報告の結果から出したデータです。
 29年7月1日現在のデータなので少し古いかもしれませんが、30年度の結果がまだ公表されていないので
 ご容赦ください。
 こんどは町内レベルに近いところは少なく、10~40kmくらい離れているところが多いという結果が出ました。
 最長は76.8kmある広尾~帯広間となりましたが、
 実はこの間にも、大樹町国民健康保険病院や、更別村国民健康保険診療所、中札内村立診療所などの
 有床医療機関が存在します。しかし、いずれも「急性期」に名乗りを上げていません。

 そもそも病床機能報告は「自己申告制」で、
 有床医療機関ごとに自分たちの病床が「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4つのうちのいずれに当てはまるかを
 自分たちで判断して「ベッド単位」ではなく「病棟単位」で報告してもらうものです。
 したがって、例えば1病棟しかない小さな病院で急性期と回復期の両方を診ていてもどちらか一方しか報告できず、
 残りの病床数は「0」と報告せざるを得ないわけです。
 このために、南檜山、日高、根室の各医療圏は、回復期「0床」と報告され、
 若干の物議を醸しました。
 普通に考えて医療圏まるごと回復期医療なしなど、いくらなんでもそんなわけはありません。
 実際に厚労省から、半ば言い訳じみた事務連絡が発出されています。
 こういう数字は都道府県や全国単位で大まかな傾向を示すのには適しているかもしれませんが、
 二次医療圏単位の方針をこの数字を使って決めろというのは無理があります。
 自分たちで誤解を招くような指標を作っておいて、「誤解させる状況が生じていると想定される」とは
 雑な仕事にもほどがあります

 話がそれましたが大樹・更別・中札内でもひょっとしたら細々と急性期医療を行っているかもしれない
 (というかその可能性が高い)と思いますが、そうであったとしても数字には現れないので
 このような結果となってしまった可能性があるという話です。
 しかしながら、広尾町国保病院のHPを見ると、「北斗病院」へのリンクがあるくらいのつながりはあるようですので、
 この76.8kmという机上で出した数字は、まんざら間違った結果ではないようでもあります。
 (追記:とある方からご指摘をいただきましたが、広尾町国保病院については独法化の際に
  北斗の理事長が法人理事長になられたようです。つながりどころの話ではないのですが、
  サイトで確認できた話であり、すっかり見落としていました。ご指摘ありがとうございます)

 いずれにしろ、この機能を維持するためには「病院」または「有床診療所」であることが条件となります。
 現状での維持がむずかしいとなれば、どこまで縮小してもよいかという議論にならざるを得ません。
 地域によっては、この議論をきちんと行わないといけないところもあるのではないでしょうか。
 かりにこの議論を先延ばしにしていると、いずれ経営の問題あるいは人的医療資源の問題などで、
 予期・意図しない縮小、すなわち「医療崩壊」を起こしてしまう懸念があります。
 医療機能の縮小は計画的に、かつ粛々と行っていくべきものと私は思っています。 

ウ,小児科の専門診療機能

 子供を持つ世帯が田舎に引っ越したときの最重要事項の一つが、地域における小児科診療と思います。
 正直、隣町まで行かないと小児科医の診療を受けられないなら、いっそ自分が隣町に住んで
 そこから町をまたいで通勤しようかという気にすらなります。

 ここでは、内科・外科とは独立した小児科外来を週4日以上行っている施設、
 および内科・小児科や総合診療科であっても小児科専門医が担当している施設を抽出し、
 その結果54施設中14施設がヒットしました。以下にその分布を示します。

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 正直な話、小児診療にあたって内科医や外科医がやっている「なんちゃって小児科診療」では
 親御さんも不安を覚えるでしょうし、担当している医師もそうだと思います。私がそうでした。
 では、総合診療医はどうなのかというと、たしかに総合診療医や家庭医は
 その修行の過程で、一定以上の小児診療に関する知識・技術を身に着けているはずです。
 少なくとも、何の修行もしていない「なんちゃって小児科」よりは安心できるはずですが、
 ただ、他の専門医療と大きく違うところは、
 目の前に総合診療科のブースと小児科のブースが並んでいます。
 初診でどちらでもいいと言われたらどちらを選びますかと問われたら、
 ほとんどの親御さんが小児科を選ぶと思います。
 これは小児科専門の方が安心できるということだけではなく、
 そもそも一般小児科外来自体が「小児の総合診療」的機能を内在しており、
 (小児科が専門しか診ないというのは一部の大病院を除き非常にまれなシチュエーションなので)
 成人の診療と違って何も入り口が「総合診療科」である必要がないからなのでしょう。

 前置きが長くなりましたが、データです。

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 拡大しないと見づらい大きさになってしまいすみません。
 (図とシングルクリックすると自動的に拡大します)

 上段が「小児科かかりつけ医機能」を、下段が「入院も含めた小児科急性期診療機能」を反映するようにしました。

 結果、いずれも直近の医療機関が10~30km離れているところが多くなった一方、
 最長はいずれも厚岸町立病院となりました。
 この厚岸町立病院は、この規模の町のこの規模の病院には珍しく、
 小児科医が院長を担当しています(ちなみに私の大学の先輩に当たる方です)
 ここが小児科専門診療をストップした場合、周囲は釧路・別海・根室まで行かないと
 小児科医がいないということになってしまいます。

 しかしながら、全道レベルで考えると、例えばオホーツク海沿岸では紋別~稚内間に小児科はないようですし、
 日本海側でも羽幌~稚内間に小児科はいないということになります。
 やはり「なんちゃって小児科医」も必要なのです。
 北海道と北海道医師会、北海道小児科医会では、これらの医師に対する小児救急の研修会を行っています。
 「なんちゃって小児科医」にはたしかに限界があるとも思いますが、
 きちんと修練すれば本当の緊急時には子供を救うこともできると思っていますし、
 北海道のへき地で勤務するにはどうしても必要な知識・技能であると、自らの経験からもそう思います。

エ,人工透析

 これは数的には大したことありませんが、
 状況によってはなくなると該当者はその町には住めなくなるか週3回の長距離通院を強いられます。
 多くの未導入の地域で切望され、そしていざ始めてみて中止の危機となればみんなが騒ぎ出すという
 なかなかにシビアな医療であります。

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 対象54施設中、人工透析をしている施設は22がヒットしました。
 透析ほど、「多くの場所でやっている」イコール「簡単に導入できる」ではないということが
 現場感覚として強く感じられる施設はありません。

 旅行透析が受けられないかどうかを調べていると、
 「どこでもやっているのに、なんでここではやってないのか」と思うこともあるかもしれません。
 それはへき地であればあるほど、多大な労力をかけて維持しているということなのであり、
 その労力を割くリソースのないところでは、透析などできやしないと、そういうことなのです。

 ではデータです。

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 これは見事にバラけました。(「離島」は利尻島国保中央病院です)
 ~5kmに分類された3施設のうち2施設は、「実績僅少」ではなく「類似かつ近接」に分類された都市部の大病院です。

 隣接する透析医療機関まで30km以上離れている6施設は
 典型的な都市部から離れた「田舎病院」です。

 再編統合で透析医療に手を入れるならば、
 そもそも透析しなくては生きられない患者さんの人生を大きく変えることになるのと同時に
 医療供給の効率や少人数を対象とした医療のリソースのあり方をどのように考えるかを
 それぞれの地域に突きつけられているということでもあり、
 おそらく地域のみなさん、まして透析医療の当事者たちは
 そんなことを厚労省に勝手に決められたくないと強く思うことと思います。

 しかし現実には透析医療を継続するためには、高価な機械の整備、
 そして、臨床工学技士の継続雇用、担当看護師の育成など
 それ相応の経済的、そして人的コストを必要とするわけですので、
 地域にとってもしっかり考えていかなければならないことと思います。
 故・村上智彦先生が言っていたように
 「命にかかわるからといくらでもお金を使ってよいのではなく、
  命にかかわるからこそしっかりお金のことをかんがえなければいけない」と、
 これは人的コストにおいても同じことが言えると思います。
 居住地選択の自由や、生存権・幸福追求権にも関わるので大変にむずかしい問題です。

 ただ、羅臼のように診療所化しても頑張って透析を続けているところもあるので、
 やはり、「何を選び、何を手放すか?」という議論が大事ということと思います。

続く

「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)

さて、前回は、

健康診断にひっかかっただけなのに精査をすっ飛ばして『それは治療が必要だ』と横やりを入れる

が如き話をマスコミが報道したために

田舎の首長さんや住民が大混乱という話を書いたわけですが、

新聞などには「実情を無視」などとも書かれていました。

今回の公表の趣旨から言えば、厚労省は地域の実情など一切考える必要がなく
(あくまでスクリーニングの趣旨なので、)
それを地域でしっかり自分たちで考えてくださいというものだったのですが、
では、北海道の医療の「実情」とはいかなるものか、
少しでも現場の状況を反映できるデータが、
公表されているデータだけで何とか作れないかと試行錯誤してみましたので
少し長いですが、おつきあいください。
(この後、とある会議に出すための資料を用いてブログ用に文章を改めて起こしたものです)

54

まずは、今回名指しされた54施設の分布図です。
大部分を占める赤いコマが「診療実績の少ない医療機関」で、
青いコマが「近隣に機能の類似した医療機関が存在する医療機関」です。
道内ほぼくまなく網羅されているようにも見えますが、
意外なことに留萌管内が皆無で、後志管内も1施設にとどまっています。
ここの分析はよくできませんでしたが、今回の趣旨とは外れるので割愛します。
(追記:後志は小樽市のほかには病院自体4軒しかなく、
    留萌も病院が6軒しかないうち、急性期は留萌市立と道立羽幌しかなく
    地域の小規模病院で急性期を申告しているところがないという事情のようです)

さて、北海道の医療を語る上でいくつかのキーワードがあります、すなわち
「広域分散・積雪寒冷」
「不便な公共交通」
「医療供給体制の公立・公的医療機関への依存」
「小規模病院・少人数の医師に支えられる地域医療」

これらに関して現在の医療体制が失われた場合どうなるのかも交えて
少し考察してみることとします。

1,広域分散・積雪寒冷

これはそのままズバリで、北海道の場合、隣町まで40~50kmは当たり前であり、
しかも冬にはあちこちの道路が冬季通行止めになったり、悪天候で通れなくなったりするという状況で、
単純に医療の需要量だけであるべき病院配置を決めることはできない、という理屈ですが、
実際のところはどうなのでしょう。

さて、地域でみなさんが身近にかかる、いわばかかりつけ医に求める機能は何かを考えてみましょう。

「急病などの外来診療」
「軽い外傷の診療」
「比較的高度な救急(脳卒中・心血管疾患・多発外傷など)医療」
「急性期入院医療」
「小児科の専門診療」(外来・入院)
「分娩受け入れ」
「人工透析」

だいたいマチからなくなると大騒ぎになるのはこんなところでしょうか。

この中で、
「軽い外傷の診療」は内科にかかることもあれば、外科・整形外科、少し知恵のある方なら皮膚科・形成外科にかかったり
受療先が特定困難なので今回は考察しません。
「比較的高度な救急医療」については現状でもある程度集約化されており、
「分娩受け入れ」については54施設中1施設しかなかったので考察対象から外します。
(そもそも周産期医療センター指定医療機関は再検証対象そのものから外されてます)

そうすると、ここで論じるのは
ア,外来診療機能
イ,急性期入院診療機能
ウ,小児科の専門診療機能
エ,人工透析

ということになります。

長くなるので次に続きます

再編統合の「必要性について特に議論が」必要な公立・公的医療機関等について

10/9内容を一部修正しました。

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最近いろいろ忙しくてついつい更新をサボりがちでしたが、
さすがにこのネタはスルーできないので、いつものように駄文を書き連ねてみます。

厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」での議論を経て、
「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」が実名公表されました。

424病院は「再編検討を」 厚労省、全国のリスト公表(日経の記事にリンク)

全国で424病院が名指しされ、うち北海道内は54施設と全都道府県中最多となっています。

北海道が全都道府県最多となった背景には、
非都市部の急性期医療の多くが市町村立や厚生連・日赤などの公的病院によって供給されていることや、
町立病院クラスの病院など、診療対象人口が数千人クラスの病院が多いことがあると思います。

新聞報道などを見ると、「再編統合が必要とされた医療機関」などと、
まるで医療機関が不要であると断じられたようなセンセーショナルな書き方になっていますが、
個人的な感想としては「あ~やっぱりこうやって誤解されたか」というところです。

言っておきますが、「再編統合が必要な医療機関」と書かれている新聞・報道はすべて不正確です。

大事なことなので再度いいますが、厚労省の元資料は
「再編統合の必要性について特に議論が必要な」という表現で一貫しています。

先に結論を言ってしまうと、今回リストアップされた病院は、
厚労省が示すデータではその必要性を示すことができなかった公的・公立病院」というのが
正しい解釈と私は考えています。
で、その必要性については地域できちんと話し合って、
存続という方向をとるならば、その必要性、必要な理由
そしてどのような形態で(そのまま?ダウンサイジング?診療所化?一部機能の他院委譲?病院機能の転換?)存続するかの具体的な絵を描いて
各地域において行われる「地域医療構想調整会議」の議論を通して示してくださいねということと思います。

以下、解説です。

今回リストアップされたのは、
1,近接地(救急搬送を考慮し、おおよそ車で20分程度)に機能の類似する医療機関の存在する公立・公的病院(以下「類似かつ近接」という)および
2,「特に診療実績の少ない公立・公的医療機関」です。

前者は、主に都市部の病院で同じ市街地に「どんぐりの背比べ」のような病院が林立している場合や、
北海道では例えば空知南部のように市町村が密集しているような地区で近接距離内に類似した診療実績の医療機関がある場合を
イメージするとわかりやすいと思います。

一方で、北海道で大きな問題となるのは後者と思いますが、こちらはもう文字通りの意味です。

その選定ですが、まず、全国の地域医療構想区域(北海道では二次医療圏と一致)を区域内人口で層別化します。
(「100万人以上」「50万人以上100万人未満」「20万人以上50万人未満」「10万人以上20万人未満」「10万人未満」の5階層)

「類似かつ近接」は、上記層別ごとに「周産期医療」「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」6領域全てにおいて診療実績の類似する医療機関が車で20分以内の近接距離にある場合に該当します。この項目は、医療機関の競合による共倒れを防ぐことを目的としていると思われます。

一方「特に診療実績の少ない公立・公的医療機関」については。上記層別ごとに「研修・派遣機能」「へき地医療」「災害医療」「周産期医療」「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」の9領域のうち「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」についてそれぞれの領域の各評価項目の実績がすべて下位3分の1に入り、かつ、「周産期医療センター」に指定されておらず「周産期医療」の実績が下位3分の1に入り、かつ「研修指定病院(基幹型)」「へき地支援病院」「災害拠点病院」のいずれにも指定されていない、(10/9修正)をすべて満たす病院を機械的にリストアップしたもので注意したいのは、こちらは「類似かつ近接」の条件とは異なり周囲の医療機関との距離は関係ないというところです。

なお、各領域ごとの細かな内容についてはこちらでも不明ですが、
厚労省からワーキンググループの内容に関してある程度の資料は公表されていますので、時間のある方は御覧ください。

いずれにしても、当然のことながら北海道特有の「広域分散」「積雪寒冷」「公共交通機関の貧弱さ」「病院ごとの対象診療人口の差」「自治体立病院に大きく依存する地域医療体制」などは考慮されていないわけであって、北海道においては過疎地の小さな町村立病院がリストアップされるのは、ある意味当然ということになります

ここからは推測ですが、厚労省ワーキンググループは、そこを「あえて考慮しない」ことで地域における議論を促そうとしたのではないでしょうか。この集計そのものが粗々のものであることは、作った厚労省が最もよくわかっているはずで、実名公表された病院や地域においては「再編の要請」ではなく「再検証の要請」をするということで、病院を「潰せ」とか「廃止しろ」と言っているわけではなく、「必要性を地域でよく検証してください」ということなのでしょう。

だから、厚労省はリストアップされた病院の中にも今回の9領域に含まれない重要な役割を地域で果たしていることもあるのでよく議論することとワーキンググループの資料の中でも明言していますし、今回公表された医療機関は、くどいようですが報道の論調のような「再編統合の必要がある医療機関」ではなく、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」ということです。

ここを誤解されてしまうと、地域の医療供給体制の在り方に関する議論を進めることができなくなってしまいます。その具体的議論こそ、「地域医療構想調整会議」で各医療機関の代表や首長さん、受益者たる住民代表なども含めた地域の代表がしっかり議論すべきところなのです。

あと、「再編・統合」という言葉が一人歩きしていますが(これも公表前に危惧した通り…)、ダウンサイジングや機能転換なども含めた、地域全体の医療の在り方の検討の中で個別医療機関をどうするかを検討してくださいということで、例えば「病気になったら40~50kmも離れた隣町に行けということか」などという批判は当たりませんそういう事情こそ、「地域医療構想調整会議」で議論されるべきものです。

また、リストアップされた医療機関を国が問答無用で「不要な病院」と断じているわけではないので、ここは是非、誤解なきようお願いいたします

あと、道新の1面の中見出しには「医療費抑制狙う」と書かれていますが(本文にそのことを書いてないという内容以前の問題はこの際置いておくとして)、単純にそれだけではなく、集約化などを含む医療提供体制の効率化によって不採算医療を担う医療機関の共倒れを防ぐという目的もあります。これについてはそもそもの地域医療構想の考え方で、一貫しているものです。

さて、ここまでは国のスポークスマンみたいな論調になってしまいましたが、今回医療機関の実名が公表されたことによる懸念が思いつくだけで3つあります。

一つ目は、リストアップされた病院に医師を派遣している大学医局がこれを契機に医師を引き上げてしまう可能性
二つ目は、公的病院を運営する厚生連や日赤などがこれを機に当該地域から撤退する引き金となってしまう可能性
三つ目は、リストアップされた病院の将来に失望して看護職員等の大量辞職を招く可能性です。

いずれも「予期・計画しない」医療体制の縮小、すなわち医療崩壊を招いてしまう可能性があります。
これについては、正直名前が公表されてしまった以上、各医局や機関に自制を求めるしかありません。
うがった見方をすれば厚労省はそれをこそ狙っていたということも言えなくはないのでしょうが、
ここのリスク評価についてはやや甘かったのかなという印象がぬぐえません。

いずれにしても、今回俎上に上がった各医療機関を抱える地域においては、
センセーショナルな報道に決してうろたえることなく、
着実に議論を行っていかなければならないと思いますし、
医療提供の効率と住民の安全を秤にかけた議論は今後とも継続していかなければならないと思います。

今回の明らかに批判に偏った各社の報道で、この議論に水を差されることが
ないように願うばかりです。

 

拙ブログにいただいた感想について

これまでのエントリーをお読みいただいて,
twitter上で,RoseShu先生から,とても貴重な示唆に富むメッセージをいただきました.

非常に大事な視点と思いますので,ご本人の許可を得て,転載させていただきます.

ブログ拝読しました。過疎に喘ぐ地域の医療を守る、或いは展望する事は非常に大切な事だと思います。自分も同じ立場ですので。しかしこれは現場の仕事ではなく、都市政策に含まれる仕事。

将来の人口推移を見越し、病院機能分化と集約化、継続可能な福祉政策などは行政の社会的責務です。大概これを放置ゆえに捻れが生まれ現場から意見を発する事になります。当市でもそうです。本日議員さんと懇談しましたが全く医療福祉は分かっていません。

こんな事だから長期的ビジョンなど期待出来ず、将来住民は路頭に迷うことになるでしょう。「福祉こそ市民の権利」とソール市の新市長、まさに地域福祉の将来展望を自治体と共に国が真剣に示すべきと考えます。

えてして,医学部を卒業して,医者という立場,医療という世界にいると,
「命を守る仕事の尊さ」というところ(とても大事ですが)で思考停止してしまい,
医療以外のものに目が向かなくなります.

地域の病院の適正規模,適正な機能という考え方は非常に大切です.
そして,「これ以上はいらない」「ここでストップ」と号令をかけるのも,
地方自治体首長の大切な仕事です.
ただ闇雲に拡大路線を突っ走ればいいというものではありません.

とくに高次医療については隣接自治体と共同してやっていかなければ
ならないことも多々出てきます.今後,地方自治体財政が好転するという
根拠が何もない以上,医療だけじゃなくあらゆる分野での広域連携が
必要になってきます.

地域の医療体制のデザインは,まさにそういった今後の都市政策や都市計画に
含まれるものです.
そう考えると,人口のこれからどんどん減っていく町で,
オラが町の医療だけが拡大路線を突っ走る理由がないわけです.

たしかに高齢者の割合が増えますが,そういう高齢者の全てが高度の医療を
必要とするでしょうか?そうなれば,必要になるのは医療の拡充ではなく,
福祉の受け皿です.これがないと「在宅へシフト」とはいいますが,余りに在宅に傾き
すぎれば,どんどん減っていく労働可能人口の手が自宅介護にとられ,
まちの産業も更に衰退に拍車がかかります.

今後は要介護者の人間性,QOLを損なわない程度に,介護の集約化だって
必要になってきます.
若い人たちには介護に割く精神的,肉体的,時間的負担を極力減らし,
その分しっかり働いてもらわなければ,冗談じゃなく,地域が,日本が潰れます.

その時の私の返事も併せて引用しておきます.

ご指摘の通り地域医療政策というのは「都市計画」の中にしか存在できないと思われます。その中で、どこまでを自治体で支えられるのか、どこから先を近隣自治体に依存するのか、それが実際に可能か、という点の検討が大甘なのです。

更に、それを支援する側の問題もあります。事前検討の甘い構想を支援することは、ある意味これは道税の無駄遣いでもあると思っています。

ただ、これは当地に限った問題ではないのですが、「医師配置計画」は決して「都市計画」の上位に立つものではありません。ところが医療界、各大学医局のみならず、いわゆる「官製医局」と称される我々の部署のようなところでも、そこを勘違いした言動が多々見られるのです。

「医師配置に関する制約」は都市計画の策定にかかわる大切な制限要素ではありますが、決して上位に立つものではありません。地域は、医者が存在するためにあるわけではありません。そこに地域が存在するから医療が必要なのです。ここ、医者を送る方も、送られる医者も意識すべきです。

そう考えると、医師派遣のパラダイムを早急に変えていく必要があるのだろうと思います。限られた社会資源の分配、という大変困難な作業を行っているわけですから.

これに対し,更にRoseShu先生より,私(だけじゃなく多くの北海道の自治医大卒業生)の思いを
まるで代表するかのようなこんな一言をいただきました.

非常に同意します。長期的展望をもった都市政策は病院機能分化や集約にも繋がり、それがあって初めて医師配置が可能となるはず。「ものがあるからそこに行け」では見殺しといっしょ。

私の冗長なコメントをものの見事に吹き飛ばしてくれました.
これは一般の大学医局でも同じ状況があります.
医師配置が先にありき,という考え方でその場しのぎの派遣をされ,
行ったはいいが必要とされているのかわからないとか,明らかに戦力過剰で
わざわざ他地域から手術症例や検査症例,外来患者を「奪って」
きて隣接地域の
医療体制を破滅に追い込む片棒をかつがされるとか,そういう弊害はいろいろあります.

「必要のないものは手放す」

たったこれだけができないために,
地域の現場にどれほどの不条理を生じているか…

そういうことを,医者を送る側も,送り込まれる側も,それを仕切る側も,
きちんと認識してことに当たる必要があると強く感じます.

まあ,医療に限ったことではありませんが.

末筆となりましたが,非常に示唆に富むご指摘をいただいたRoseShu先生.
本当にありがとうございました.
また,何かとご教示の程,よろしくお願い申し上げます.

なんとなくつぶやいてみた…(一部修正あり…)

ツイッターでつらつらと日々の思いを…
(文章のカッコ内は後で加えたものです)

結局(昨日の)千歳の悪天候で帰れなかった先生方は各々、釧路からJRまたは一泊して今日の航空便で帰ったよう。

しかし、札幌に帰れない…ということはイコールで来づらい、ということ。同じ僻地でも交通の便の良い僻地と、そうでない僻地がある。

とくに根室管内は、中標津空港ジェット化に先立って標津線が廃止された。道路状況はそんなに悪くないが、釧路を中心とした道東地域の都市圏のいびつな配置により、とくに根室中部、北部には距離的な問題が発生している。このため局地的な自然災害以外に今回のような千歳の悪天候にも弱い。

そう考えると、実情は非常~に脆いインフラの上に、地域医療のみならず地域のすべてが成り立っているのだという事実に直面させられる。怖いのであまり表面化したくないのが正直なところだが、それが現実。

医療の各専門分野がこれだけ細分化され、その一つ一つに人海戦術のように人がつぎこまれるようになり、もともと潜在していた高度医療を行う(都会の大病院や大学病院のような)医療機関の慢性的人手不足が、名義貸し騒動と臨床研修義務化を契機に一気に顕在化した。

大学病院から個人開業医にいたるまで、医療レベルを下げる、というのはどこでも受け入れがたい決断。地方議員や首長の意を汲んで成立している地方公立病院、診療所ならなおさら。

過去に戻ることはもうできない以上、今後の長期ビジョンに対する住民コンセンサスの確立は必須。道路や交通機関を充実させ、医療そのものは必要最小限の軽装備にするか、あえて自己完結型の医療を目指していくのか、そうなるならその具体策は…?などなど

首長が現場も考えず勝手に、できもしないことをさもできるように住民に約束したり、逆にやるべきことをやらなかったり、あまつさえそれで生じた赤字や住民の不満まで医療従事者の責に帰す。当然心理的圧迫も強くなり、もともと地域では余所者だった医師は居づらくなってしまう。

そもそも医師の能力にはある程度の偏りがあるし、そのマッチングだってしていなかったりする。一体自分は何のために来ているかだったわからなくなる。はたして自分はここに居る必要があるのか…

そんなことが最初からわかっている施設に誰が好き好んで行こうと思うだろうか?決して報酬や待遇なんかの問題じゃない。

「民度」の問題を持ち出す人もいるが、ここらへん事務職の責任は非常に大きいと考えている。

私自身は医師の報酬を下げることには実は反対ではない。ただ、現状を考慮すると僻地の医師招聘や医療体制・医療資源の確保に責任のある事務職の幹部クラスには、医師と同等かそれ以上の待遇があってしかるべきと思う。

そのかわり、医療体制の維持確保に関するビジョンの策定や、住民との合意形成、首長の方針とのすりあわせ、首長交代による激変の緩和などにはきちんと責任を持ってもらう。

この仕事、ちゃんと真面目にやったらとても大変。とくに住民の合意形成などという仕事は想像するに余りある。良心的な自治体であっても、院長とか現場のトップが片手間に講演とかやっているのがせいぜい。いかにそういう仕事が評価されていないかの証左。

地域の医療体制の適正規模での維持(必ずしも縮小のみとは限らない)と、それに対する住民合意の形成、という(事務だろうが医者だろうが)とってもしんどい仕事・努力に対して余りにも過小評価しすぎたことが、地域医療崩壊の一因をなしていたのかも…。

医療資源確保競争に敗れた地域にも住民は存在する。田舎であれ都会であれ、まずは住民・役所・首長・議員自身が「自分たちは敗れたのだ」と現実を認識すること。それなしに先へは進めないと考えています。

全床療養転換も,実際に急性期病床が実質療養病床的な使われ方しかされていない地域では一法ではあるかも.需要に応えるという意味では….

生き残れなかった地域の住民が一気に流れ込んできて,急性期を扱う後方病院でこうも次から次と長期の社会的入院を要求してくる様を見るのも何とも….町そのものの良識が疑われてますよ….

それでもオラが町に急性期病床がほしいなら,その需要があることを住民が身をもって示すべきだった.崩壊に至る前に….

ファミレスに行って食事もせずに飲み放題のドリンクバーを飲む人ばかりが利用したらそりゃ,店潰れるだろう…

そして周辺住民はファミレスはメシがマズイから隣町の専門店街まで出かけてくるんだと吹聴してまわる…その行為自体は問題ないけど,それでファミレスが潰れて「うちの町にはファミレスがない」とぶーたれるのは,かなりの問題でしょう.住民全体のインテリジェンスすら疑われかねない….

それを「民度が低くてどうしょうもない」ととるか,「改善の余地がある」ととるかは人それぞれ.私は後者から前者になりつつあるのを必死でこらえているが,当然後者でありたいと思っているし,後者の考え方をする人といっしょに働きたい.

(でも住民自身が改善の必要性を認識してくれなければ…)

ただのつぶやきです.具体的に何かを指しているわけではありません.
そう…ただのつぶやきです………

病院のダウンサイジング~米内沢総合病院の件で考える~

米内沢総合病院:民間移管を断念 4月から診療所に--北秋田市長表明 /秋田

羅臼町や,夕張市の例もありますが,なかなか,医療機関のダウンサイジングというのはえてして一筋縄ではいかない事例が多いですね.

この地域の特性などは知らないので,あくまで記事やネット情報から類推するしかないのですが,隣町である上小阿仁村と北秋田市で作る一部事務組合立の病院で,15科,254床というのですから,かなり大きな病院であったはずです.

まず,北秋田市民病院への集約化構想に伴って,職員の集団退職騒動があり,以後は慢性期病院としての存続を考え,民間移譲を試みるも引き受け手が現れず,結局診療所に格下げという風に記事からは読めます.

しかしながら,このダウンサイジング,おそらく当初からきちんと計画されたものではなさそうです.254床を擁する病院の建物のまま診療所化を行うことの非効率性(夕張を見ればわかる)や,診療所で心臓外科を標榜するという意味のわからなさも,状況に引っ張られなし崩し的に急ごしらえのダウンサイジングとならざるを得なかったことを物語っています.

今後,医療の高度専門化がますます進めば,更に大病院に人手が必要になり,農村漁村山間部離島などの医療の対象人口自体も過疎化で減少傾向となるでしょう.
限られた経営資源の範囲内で広域医療を安定維持していこうとするならば,その人口や地理的条件から見て過度に大きな医療機関のダウンサイジングは必要です.

しかし,医療施設のダウンサイジングが,そのまま地域医療そのもののダウンサイジングにつながる事態(地元で死ぬことすらできない…とか)は避けたいものですし,それを巡る職員・住民との衝突も可能な限り避けなければなりません.

そのためには,病院のもつ様々な機能の中で,何を他に委ね,何を地元で維持すべきかをきちんとした哲学に沿って明確に決定し,それを住民に納得してもらう努力というか計画性が必要ですし,住民側や職員側にも,おらが町の病院を現状で存続させることが本当に長い目で見て良いことなのかどうかを真剣に考える必要があるでしょう.

行政の確たる長期的ビジョンをベースにした堅固かつ能動的なダウンサイジング構想(単に医療面だけでなく,職を失う人たちの雇用対策や病院を縮小することによる地域経済への影響の対策なども含めて!)と,住民・職員のダウンサイジングの必要性に対する深い理解,そして隣接自治体との良好な関係,この3者が揃うことが,病院のダウンサイジングを進めるには必須条件であり,「地域医療の先進地」夕張といえども,残念ながらこの点では成功しているとは言い難いなという印象です.

羅臼町などは,3つとも揃わず,ダウンサイジングそのものも受動的であり,結果として大失敗して地域医療そのものまで崩壊した悪例の筆頭格になってしまいました.

正直,じゃあどうすればいいのか…偉そうなことを書いた私自身も確たる方策が見いだせておらず,まだまだ勉強が必要と思っています.

どこか,スムーズかつ遺恨を残さないきれいなダウンサイジングの見本を見せてくれる自治体はないものですかね….
なければ人に頼らず自分で作るしかないか…う~む.

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