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2020年3月

「緊急事態宣言」が明けて

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 もう、COVID-19一色で、他の仕事がほぼ完全に吹っ飛んでしまっている状況です。
 実は職員に「お前は働きすぎだ」とダメ出しをされ、
 この3連休は何か大きなことが起こらない限りなかば強制的に休まされている状況です(汗)。
 むしろ現場で汗を書いている医療従事者の皆様には申し訳ないというか…。

 まあそれでこのような駄文を連ねる時間が多少できたというわけです。
 (もちろん、管内の発生状況等の報告は適宜電話で受けていますし、何か起こればすぐ出勤できる状況はとってます)

 基本的な気持ちは先週の知事会見や専門家会議と一緒で、
 ・爆発的な患者増加に伴う医療需給バランスの崩壊による異常事態はとりあえず現時点で少なくとも先延ばしにはできている
 ・緊急事態宣言や学校休校も一定の効果はあり、安堵している。
  (この状況では、収束していなくても新規感染者数が現状維持~若干減であれば、成功と考えるべきです)
 というのが正直なところです。
 今後も
 ・オーバーシュートを起こさせない→クラスタの芽を丁寧に潰し、できてしまったクラスタは徹底的に封じ込める
 ・感染連鎖が起こると致命的になるような場所・集団に波及させない
 が目標であることは変わらず、まだ体制を緩めることはできないと感じています。

 それに加えて、もし「オーバーシュート」が起きてしまった場合の備えも同時進行で行っていかなければなりません。
 当初の予想以上の長期戦、持久戦になりそうです。

 一方で、このような強い措置をやりますと、
 効果よりも副作用の方が先に出てくるのが常です。
 しかも効果というのは、良くても「何も起こらなかった」という極めてわかりにくいというか認識しづらい効果なので、
 はたから見ると結果的に副作用しか見えてこないということもまた、こういった対応ではよくある話です。

 いろいろあって、私自身のCOVID-19に関わる仕事自体の内情はほとんどお話できませんし、
 一昨日、専門家会議の新たな見解も出た中、
 医学的なことや感染防御策について私が語るのも屋上屋を架すようなものなので、ここではやりません。
 (某所では実名で、仕事で市町村や上司へのプレゼン、職員教育用に使っているスライドを
  限られた範囲で共有していますが、いろいろあってここではやりません。)

 そういうのはぜひ、テレビに出ているような「感染症に詳しい○○」ではなく
 感染制御や危機管理に責任をもって現在も実践に当たっている人の責任ある発言
 (お前もそうだろ、と突っ込まれそうですね。ただここは「一応」匿名ブログなので、読む人の判断になります)や
 学会声明を参考にしていただくとよいです。

 できれば、マスコミのフィルターを通さないことをおすすめしますが、
 完全にマスコミをシャットアウトしてしまっても必要な情報を得られないので、
 自治体の医師や実際に治療に当たっている医師の署名記事(読めれば論文そのもの)、
 あるいはNHKニュース速報アプリの会見生配信などがよいです。

 都道府県や保健所設置自治体首長さんの談話も、
 少なくとも科学的事項や事実関係は必ず所属行政医師のチェックを受けているので
 そこについては信頼できます。

 私自身も仕事上では情報をわりと積極的に発信しているのですが、
 そこで気をつけていることは
 ・突飛なことを言わない。賛否両論が割れて論争になっているところにはあえて踏み込まない
 ・最先端を狙わない。新知見は他の多くの専門家の評価を待つ。
 ・臨床感染症や感染制御の専門家からみて、「当たり前すぎてつまらない」と思えるようなことしか言わない
 ・最悪ケース想定の共有と、無闇矢鱈に不安を与えないことの両立を目指す
 ・表立った政府や行政体の批判や、「こうすべきだ」論は(できるだけ)言わない
 ・不用意に不安を与えない。不安の裏返しである、人々の怒りや悲しみといった感情を無用に掻き立てることは言わない

 といったところでしょうか。

 でも、これが本当にちゃんとできているのは、やはり学会声明であり、専門家会議声明だったりします。

 これからは、
 ・事態を冷静に受け止め
 ・最悪ケースを想定しつつ
 ・次に行うアクションは何かを学び、考え、実行する
 これを、政府、都道府県、市町村、各医療機関、住民、それぞれの立場で実行していかなければなりません。

 このどれが欠けても、感染症対策はうまくはいきません。

 また、感染症の恐怖に民衆が冷静さを失いパニックになれば
 感染症で失われる以上の多くの命が失われる可能性もあります。
 我々は「公衆衛生」に責任ある立場なので、たんに感染症を制圧するだけではダメなのです。
 政治と連携して、人命についても経済的にも「最小被害」を狙っていかなければならず、
 そこは医療・保健だけでない「さじ加減」が必要になります。

 誰からも文句の出ない方策なんて、最早とれる状況ではありません
 そこは我々行政が責任もって引き受けなければならないところです。

 医学・医療・保健の素人でありながら責任ある立場にある自治体幹部や首長に寄り添い、
 その政治決断を専門的知識をもって支え、
 行政体全体として住民の社会生活の維持に全力を尽くす、

 それができるのがわれわれ「公衆衛生医師」の専門性そのものであろうと確信しています。

 COVID-19で命を落とす人を一人でも少なく、
 そして、COVID-19のせいで、COVID-19以外の原因で命を落とす人も一人でも少なくするために、
 我々は、少なくとも私は、与えられた立場で全力を尽くしていますし、今後もそうありたいと思っています。

 引き続き、力を合わせ、この難局を乗り切りましょう。

 

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