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再編統合の「必要性について特に議論が」必要な公立・公的医療機関等について

10/9内容を一部修正しました。

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最近いろいろ忙しくてついつい更新をサボりがちでしたが、
さすがにこのネタはスルーできないので、いつものように駄文を書き連ねてみます。

厚生労働省の「地域医療構想に関するワーキンググループ」での議論を経て、
「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」が実名公表されました。

424病院は「再編検討を」 厚労省、全国のリスト公表(日経の記事にリンク)

全国で424病院が名指しされ、うち北海道内は54施設と全都道府県中最多となっています。

北海道が全都道府県最多となった背景には、
非都市部の急性期医療の多くが市町村立や厚生連・日赤などの公的病院によって供給されていることや、
町立病院クラスの病院など、診療対象人口が数千人クラスの病院が多いことがあると思います。

新聞報道などを見ると、「再編統合が必要とされた医療機関」などと、
まるで医療機関が不要であると断じられたようなセンセーショナルな書き方になっていますが、
個人的な感想としては「あ~やっぱりこうやって誤解されたか」というところです。

言っておきますが、「再編統合が必要な医療機関」と書かれている新聞・報道はすべて不正確です。

大事なことなので再度いいますが、厚労省の元資料は
「再編統合の必要性について特に議論が必要な」という表現で一貫しています。

先に結論を言ってしまうと、今回リストアップされた病院は、
厚労省が示すデータではその必要性を示すことができなかった公的・公立病院」というのが
正しい解釈と私は考えています。
で、その必要性については地域できちんと話し合って、
存続という方向をとるならば、その必要性、必要な理由
そしてどのような形態で(そのまま?ダウンサイジング?診療所化?一部機能の他院委譲?病院機能の転換?)存続するかの具体的な絵を描いて
各地域において行われる「地域医療構想調整会議」の議論を通して示してくださいねということと思います。

以下、解説です。

今回リストアップされたのは、
1,近接地(救急搬送を考慮し、おおよそ車で20分程度)に機能の類似する医療機関の存在する公立・公的病院(以下「類似かつ近接」という)および
2,「特に診療実績の少ない公立・公的医療機関」です。

前者は、主に都市部の病院で同じ市街地に「どんぐりの背比べ」のような病院が林立している場合や、
北海道では例えば空知南部のように市町村が密集しているような地区で近接距離内に類似した診療実績の医療機関がある場合を
イメージするとわかりやすいと思います。

一方で、北海道で大きな問題となるのは後者と思いますが、こちらはもう文字通りの意味です。

その選定ですが、まず、全国の地域医療構想区域(北海道では二次医療圏と一致)を区域内人口で層別化します。
(「100万人以上」「50万人以上100万人未満」「20万人以上50万人未満」「10万人以上20万人未満」「10万人未満」の5階層)

「類似かつ近接」は、上記層別ごとに「周産期医療」「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」6領域全てにおいて診療実績の類似する医療機関が車で20分以内の近接距離にある場合に該当します。この項目は、医療機関の競合による共倒れを防ぐことを目的としていると思われます。

一方「特に診療実績の少ない公立・公的医療機関」については。上記層別ごとに「研修・派遣機能」「へき地医療」「災害医療」「周産期医療」「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」の9領域のうち「小児医療」「救急医療」「脳卒中」「心筋梗塞等の心血管疾患」「がん」についてそれぞれの領域の各評価項目の実績がすべて下位3分の1に入り、かつ、「周産期医療センター」に指定されておらず「周産期医療」の実績が下位3分の1に入り、かつ「研修指定病院(基幹型)」「へき地支援病院」「災害拠点病院」のいずれにも指定されていない、(10/9修正)をすべて満たす病院を機械的にリストアップしたもので注意したいのは、こちらは「類似かつ近接」の条件とは異なり周囲の医療機関との距離は関係ないというところです。

なお、各領域ごとの細かな内容についてはこちらでも不明ですが、
厚労省からワーキンググループの内容に関してある程度の資料は公表されていますので、時間のある方は御覧ください。

いずれにしても、当然のことながら北海道特有の「広域分散」「積雪寒冷」「公共交通機関の貧弱さ」「病院ごとの対象診療人口の差」「自治体立病院に大きく依存する地域医療体制」などは考慮されていないわけであって、北海道においては過疎地の小さな町村立病院がリストアップされるのは、ある意味当然ということになります

ここからは推測ですが、厚労省ワーキンググループは、そこを「あえて考慮しない」ことで地域における議論を促そうとしたのではないでしょうか。この集計そのものが粗々のものであることは、作った厚労省が最もよくわかっているはずで、実名公表された病院や地域においては「再編の要請」ではなく「再検証の要請」をするということで、病院を「潰せ」とか「廃止しろ」と言っているわけではなく、「必要性を地域でよく検証してください」ということなのでしょう。

だから、厚労省はリストアップされた病院の中にも今回の9領域に含まれない重要な役割を地域で果たしていることもあるのでよく議論することとワーキンググループの資料の中でも明言していますし、今回公表された医療機関は、くどいようですが報道の論調のような「再編統合の必要がある医療機関」ではなく、「再編統合の必要性について特に議論が必要な公立・公的医療機関等」ということです。

ここを誤解されてしまうと、地域の医療供給体制の在り方に関する議論を進めることができなくなってしまいます。その具体的議論こそ、「地域医療構想調整会議」で各医療機関の代表や首長さん、受益者たる住民代表なども含めた地域の代表がしっかり議論すべきところなのです。

あと、「再編・統合」という言葉が一人歩きしていますが(これも公表前に危惧した通り…)、ダウンサイジングや機能転換なども含めた、地域全体の医療の在り方の検討の中で個別医療機関をどうするかを検討してくださいということで、例えば「病気になったら40~50kmも離れた隣町に行けということか」などという批判は当たりませんそういう事情こそ、「地域医療構想調整会議」で議論されるべきものです。

また、リストアップされた医療機関を国が問答無用で「不要な病院」と断じているわけではないので、ここは是非、誤解なきようお願いいたします

あと、道新の1面の中見出しには「医療費抑制狙う」と書かれていますが(本文にそのことを書いてないという内容以前の問題はこの際置いておくとして)、単純にそれだけではなく、集約化などを含む医療提供体制の効率化によって不採算医療を担う医療機関の共倒れを防ぐという目的もあります。これについてはそもそもの地域医療構想の考え方で、一貫しているものです。

さて、ここまでは国のスポークスマンみたいな論調になってしまいましたが、今回医療機関の実名が公表されたことによる懸念が思いつくだけで3つあります。

一つ目は、リストアップされた病院に医師を派遣している大学医局がこれを契機に医師を引き上げてしまう可能性
二つ目は、公的病院を運営する厚生連や日赤などがこれを機に当該地域から撤退する引き金となってしまう可能性
三つ目は、リストアップされた病院の将来に失望して看護職員等の大量辞職を招く可能性です。

いずれも「予期・計画しない」医療体制の縮小、すなわち医療崩壊を招いてしまう可能性があります。
これについては、正直名前が公表されてしまった以上、各医局や機関に自制を求めるしかありません。
うがった見方をすれば厚労省はそれをこそ狙っていたということも言えなくはないのでしょうが、
ここのリスク評価についてはやや甘かったのかなという印象がぬぐえません。

いずれにしても、今回俎上に上がった各医療機関を抱える地域においては、
センセーショナルな報道に決してうろたえることなく、
着実に議論を行っていかなければならないと思いますし、
医療提供の効率と住民の安全を秤にかけた議論は今後とも継続していかなければならないと思います。

今回の明らかに批判に偏った各社の報道で、この議論に水を差されることが
ないように願うばかりです。

 

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コメント

>ただまあ、騒動の責任は悪意?の誤報を流したマスコミであって、国が下手に火消しに回るとせっかくの「ショック効果」が減殺されるでしょうし、また老後資金2000万円問題であれだけ騒いだ国政与野党が今回は妙に「静か」なのも、ことの本質への最小限の共通理解があるからと思いたいものです。

 地方レベルでは与野党手を組む可能性も大きいですので、不用意に動けないというところもあるのかと邪推します。

>さて、今回の騒動を住民や自治体とは別に医療従事者(特に医師)の目から見ると、別の風景が見えてきます。

 逃げられる人はそもそもどこでもやっていける人たちだからまあよいのでしょう。
 逆に「ヤブ医者のたまり場」としての現場はとっとと消えてほしいとも思います。
 そういう現場は、本来のニーズと病院の中身が乖離している場合がほとんどと感じています。
 地方で勝ち組病院として残っているのは、地域のニーズを病院や地域の課題と絡めて
 目先の医師”確保”に走らずに人を選びつつ役場などとの信頼関係を築けてきたところと思います。
 ただ、田舎すらもあぶれた医師たちが自由診療の怪しげなクリニックに走るようになるとまずいですね。
 その懸念は正直あります。
 だからといって田舎病院を老害医師の「たまり場」にしてよい道理はもちろんありませんが。

>たしかに、医師個々人の人生設計にまで行政が責任をとることはありませんが、せめて地域ワク(JMS卒業生を含む)医師の人事を握る都道府県庁は、義務年限終了後の長い医師人生をどうサポートしていくのか、かつてのような「義務年限終了後は非干渉(≒○イ○て)」ではすまされない誠実な対応が望まれるところです。

 ここは道職員としてではなく当事者「JMS卒業生」として発言しますが、
 個人的に「非干渉」で結構と思います。
 それは理解した上で入学してくるべきと、自分の18歳当時を思い起こしてそう思います。
 (この業界内部のことは、少なくとも人よりは情報収集してから入学してきました。
  予定より数年遅れましたが、18歳時にほぼ描いた人生を自分は送れているので)

 ただ、義務終了後に都道府県内に残ってもらえる方策はきちんと立てないと
 長期戦略としての「地域枠」は失敗に終わってしまいます。
 でもそう捨てたものでもなく、私の所管では、
 私も含め6名の自治医大卒業生が医師として働いています。
 なんと、うち4名が他県卒業生なのです。

 ここらへん、やり方次第で捨てる神あれば拾う神ありとも思います。
 問題は拾ってくれた神という素晴らしい存在を、どう処遇するかではなく、どう向き合っていくかだと思います。
 

SAMMY先生が提起されたい「流れ」のお邪魔にならないよう、発表と報道にまつわる小ネタはこっちで書き続けます。
全国各地で開かれた「意見交換会」でも「風評被害」やその「実害」について厳しい意見が厚労省担当者に浴びせられているようですね。
ただまあ、騒動の責任は悪意?の誤報を流したマスコミであって、国が下手に火消しに回るとせっかくの「ショック効果」が減殺されるでしょうし、また老後資金2000万円問題であれだけ騒いだ国政与野党が今回は妙に「静か」なのも、ことの本質への最小限の共通理解があるからと思いたいものです。

さて、今回の騒動を住民や自治体とは別に医療従事者(特に医師)の目から見ると、別の風景が見えてきます。国が喚起した「危機感」が、マスコミの誤報によりターゲットであるはずの地域住民の聞く耳を塞いだ一方で、医療従事者(特に医師)には過大に聞こえてしまったようで、某医師専用掲示板には「潰れる病院のハザードマップ」、「総員退避!」などの刺激的な文字が踊っています。
とくに若い医師や医学生にとっては、少子化と医学部入学定員大幅増により「同級生の百人に一人は医者」という(驚異/恐怖の)現実や専門医制度導入の中で、24歳から70+α歳までの職業人人生をどう設計しどう生き残っていくのか、という漠然とした不安があって、それが今回の騒動により「恐怖」に変わったとしても無理のないことと思います。

たしかに、医師個々人の人生設計にまで行政が責任をとることはありませんが、せめて地域ワク(JMS卒業生を含む)医師の人事を握る都道府県庁は、義務年限終了後の長い医師人生をどうサポートしていくのか、かつてのような「義務年限終了後は非干渉(≒○イ○て)」ではすまされない誠実な対応が望まれるところです。

>まず、10/13記事4の末尾にある看板画像の下にでもこのリンク(著作権の問題はなさそうなので画像でもよいかも)を張り付けることをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/dl/h24_hokkaido-keikaku.pdf#page=5

 すみません。14年間の臨床、うち9年間の僻地キャリアの中で、
 単純に「北海道の広さ」を意識したことは一度もなく、
 むしろ、「直近の~~までどのくらいかかるか」が現場にとって大問題と感じたので
 あえてその地図は載せませんでした。
 いくら北海道が広いと言っても、本州本土に比べたら小さいわけですから、
 あの地図上の大きさの比較にはあまり意味を感じないのです…。

>構想調整会議メンバーでもあるステークホルダーの皆様方のガードがますます固くなることについてまで想定していたかどうかは不明です。
>今ごろは、自治体やマスコミの激しい反発に政務三役を含む与党議員(や地方組織)がひるむことがないよう、事務方が懸命に「ご説明」に回っているものと思います。

 中央はわかりませんが、地方版はいままさにやっている最中のはずです。

>ただ、この30年間に今回と似たような局面がなかったわけではなく、たとえば近隣自治体共同設置によるR国保病院や広域M病院の例、平成の大合併後に同一自治体内に複数の公立(的)病院を抱えることになった道東北E町や道南H市、同S町の例があり、評価はともかく参考にはなると思います。

 合併や統合となればメインとサブになる側があると思いますが、「サブ」になった側のあり方は確かに、いろいろな面で参考になると思います。

>今回は「みんなで決めてみんなで責任を取る」ことになるので、地域のステークホルダーが腰砕けになって何も決まらなければ、あとは「恨みっこなし」で今度こそ全能の神の思し召しのままになると思います。

 本来地方のあり方とはそうであるべきと思います。
 ただ、完全自由競争になると、以前夕張にいた森田洋之先生のいう「市場の失敗」を繰り返すこととなるので
 そこには注意が必要です。

>「保健所長が決めてくれる人に・・」は、支庁統合前ならありえた(覚えはあります)でしょうが、振興局長の補助機関の分際では僭越の極みと思います。

 周囲からはそうは思われていないフシもあり、なかなかに難しい立ち位置であることは確かです。

本来なら「「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)」記事にすべきコメントでしょうが、他読者のカキコのお邪魔になってもいけないので、こっちで書き続けます。

まず、10/13記事4の末尾にある看板画像の下にでもこのリンク(著作権の問題はなさそうなので画像でもよいかも)を張り付けることをお勧めします。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/dl/h24_hokkaido-keikaku.pdf#page=5

さて本題です。厚労省としては、424病院名公表に対するマスコミの批判は当然想定していたはずですが、その後に行われている自治体との意見交換会における激しい意見やそれに乗じた更なる否定的報道を通じて、構想調整会議メンバーでもあるステークホルダーの皆様方のガードがますます固くなることについてまで想定していたかどうかは不明です。
今ごろは、自治体やマスコミの激しい反発に政務三役を含む与党議員(や地方組織)がひるむことがないよう、事務方が懸命に「ご説明」に回っているものと思います。

私見ですが、第一次医療法改正(1985)を受けて(北海道ではもう少し早く)二次圏ごとに「地域医療協議会」が設置されて以来、曲折を経て現在の「地域医療構想調整会議」に至る「地域協議会」が、30年(一世代・・)以上もかけていったい何をやってきたのか!(すみません・・)に尽きると思います。

二次圏ごとの地域保健医療計画の「理念」については、もう思い出す人もいないでしょうが、1990~91の週刊保健衛生ニュース(565,66,68,69,71,73)に当時の厚生省担当官氏名入りで載った「地域保健医療計画作成について(1)~(6)」に当時の厚生省の意気込みが読み取れますし、それからほぼ30年を経た現状(惨状)に限界と諦めを感じた厚労省が今度こそほとんど最後通牒のつもりで出したのだろうと思います。

ただ、この30年間に今回と似たような局面がなかったわけではなく、たとえば近隣自治体共同設置によるR国保病院や広域M病院の例、平成の大合併後に同一自治体内に複数の公立(的)病院を抱えることになった道東北E町や道南H市、同S町の例があり、評価はともかく参考にはなると思います。

ただ上記の例は、決めなければならない切羽詰まった事情や決めてくれる人(道庁や合併自治体の長など)がいて、よくも悪くもその事情とその人のせいにできたのでしょうが、今回は「みんなで決めてみんなで責任を取る」ことになるので、地域のステークホルダーが腰砕けになって何も決まらなければ、あとは「恨みっこなし」で今度こそ全能の神の思し召しのままになると思います。
「保健所長が決めてくれる人に・・」は、支庁統合前ならありえた(覚えはあります)でしょうが、振興局長の補助機関の分際では僭越の極みと思います。

>議論を避けたい会議メンバーにはとりあえずの慈雨でしょうし、それで医療・地域崩壊が進めば、書いたマスコミにはマッチと(油)ポンプで繰り返し美味しいネタにもなるでしょう。

いや、先生…みなまで………(汗)

>マスコミと言えば、15年位前に地域医療問題で自ら注いだ油で大やけどして以来「慎重」になったと思っていたのですが、今度の記事の書きぶりは、その教訓を忘れたのか、それともそれほどネタに困っているのか、あるいは地域社会・日本社会再編のような遠大なお志でもおありになるのか、測りかねるところです。

あれを「大やけど」と思っているかどうかは疑問ですが、おっしゃるとおりですね。

>地域医療と言えば…

施政方針については私の立場ではノーコメントですが、とりあえず現状ではこれまでと大きく変わるところはなさそうな感じに思っています。

>今回の明らかに批判に偏った各社の報道で、この議論に水を差されることがないように願うばかりです。
>今回の名指しに関する「報道」で、態度を硬化させた首長さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

議論を避けたい会議メンバーにはとりあえずの慈雨でしょうし、それで医療・地域崩壊が進めば、書いたマスコミにはマッチと(油)ポンプで繰り返し美味しいネタにもなるでしょう。
マスコミと言えば、15年位前に地域医療問題で自ら注いだ油で大やけどして以来「慎重」になったと思っていたのですが、今度の記事の書きぶりは、その教訓を忘れたのか、それともそれほどネタに困っているのか、あるいは地域社会・日本社会再編のような遠大なお志でもおありになるのか、測りかねるところです。

地域医療と言えば、Y市時代の8年間を全国民の注視下で「試練」に晒され続けたSさんが、今度はオール北海道のお立場でどう舵取りされるのか、元道民としてご期待申し上げているところです。
(SAMMY先生のお立場では書きづらいでしょうから。。)

>「地域医療構想調整会議」のメンバーには、医療と地域は今までもこれからも運命共同体であるという厳粛な事実に目を背けることなく、冷静かつ生産的な議論を期待したいものです。

卵が先か鶏が先かという問題で、医療がなくなると過疎がより進むのか、そもそも過疎で人口も減っていくということで医療も縮小せざるを得ないのか…
まあ、原因うんぬんという時期はもうすでにとっくに過ぎていて、
「計画されたダウンサイジング」を選ぶか「意図しない縮小=崩壊」を待つか
ということだろうと思います。

今回の名指しに関する「報道」で、
態度を硬化させた首長さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。
報道に冷静さを要求してもまあ無理とは思いますが、
これがいろいろなステークホルダーが「テーブルから降りる引き金」になってしまうことを恐れています。
(もっとも、そもそもテーブルに乗ってないと言われればそこまでですが)

といっても、地域での話し合いがチキンレース状態になってしまっていることは否めず、
いかに最後まで粘り切るかという状況に対する打開策が見つかっているわけではないので
そこは悩ましいところですが。
そのままいってしまえば、先生のおっしゃるように「見えざる神の手」が働くのでしょう。

正直「地域にとって何が良いのか」という根本的な問いに対して、
個人的に明確に答えられない状況ではあります。

医療リソースの適正配分問題は、オールジャパンとしては絶対量確保から適正配置に議論が移りつつあるわけですが、北海道をはじめ多くの二次医療圏ではまだまだリソースの総量不足の段階であり、もともと総量不足の二次医療圏内で泣く泣く再編・統合したところで、それが逆に圏域全体からのリソース流出に拍車をかける結果になってしまうなら、結局は崩壊を加速させるだけになってしまいます。

もちろんそうならないよう、国や都道府県としては「言うことを聞いた」二次医療圏へはリソース配分を手厚くし、「言うことを聞かなかった」二次医療圏は放置(最大のペナルティですね)することになると思うのですが、国や都道府県の手に地域ワクという駒が多少あったとしても、大学や日赤や厚生連の引揚げ圧力に抗することなどできるはずもなく、言うことを聞こうが聞くまいが、遅かれ早かれ医療と地域の共倒れ崩壊は不可避と思います。

ここで思い出されるのが昭和・平成の大合併です。役場所在地として残った集落は一息ついたものの過疎に歯止めはかからず、役場が引きはがされた集落は過疎地内過疎地として悲惨なことになっていて、結局は国や都道府県の意向に逆らって飴玉(毒林檎)を食べずに生き残りを選んだ弱小自治体に先見の明があったような形になっています。

そこでもし地域医療構想調整会議が、「二次医療圏内でどれほど診療科が減ろうが医師や医療スタッフが減ろうがお産ができなくなろうが病院という看板の存置が必要である」と判断し、政治家やマスコミや住民がそれを是としたらどうなるのか。あるいはまた地域で何も決めないまま時間が経過したらどうなるのか。
いずれの場合でも国や都道府県が「代わりに決めてくれる」ことはないでしょうから、あとは「見えざる神の手」に委ねられることになるわけです。

北海道内の郷土資料には、最盛期の産炭地には病院や開業医がそれなりに存在していたとの記事がありますが、それがその後どうなったかは周知のとおりです。
「地域医療構想調整会議」のメンバーには、医療と地域は今までもこれからも運命共同体であるという厳粛な事実に目を背けることなく、冷静かつ生産的な議論を期待したいものです。

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