« 【Dr.SAMMYのヘリコバクターピロリ除菌日記】第五日目 | トップページ | 【Dr.Sammyのヘリコバクターピロリ除菌日記】第六日目 »

現場と医療経営の目的意識のミスマッチ

3年前の投稿から。

ツイッターでつらつらと日々の思いを… (文章のカッコ内は後で加えたものです)

結局(昨日の)千歳の悪天候で帰れなかった先生方は各々、釧路からJRまたは一泊して今日の航空便で帰ったよう。

しかし、札幌に帰れない…ということはイコールで来づらい、ということ。同じ僻地でも交通の便の良い僻地と、そうでない僻地がある。

とくに根室管内は、中標津空港ジェット化に先立って標津線が廃止された。道路状況はそんなに悪くないが、釧路を中心とした道東地域の都市圏のいびつな配置により、とくに根室中部、北部には距離的な問題が発生している。このため局地的な自然災害以外に今回のような千歳の悪天候にも弱い。

そう考えると、実情は非常~に脆いインフラの上に、地域医療のみならず地域のすべてが成り立っているのだという事実に直面させられる。怖いのであまり表面化したくないのが正直なところだが、それが現実。

医療の各専門分野がこれだけ細分化され、その一つ一つに人海戦術のように人がつぎこまれるようになり、もともと潜在していた高度医療を行う(都会の大病院や大学病院のような)医療機関の慢性的人手不足が、名義貸し騒動と臨床研修義務化を契機に一気に顕在化した。

大学病院から個人開業医にいたるまで、医療レベルを下げる、というのはどこでも受け入れがたい決断。地方議員や首長の意を汲んで成立している地方公立病院、診療所ならなおさら。

過去に戻ることはもうできない以上、今後の長期ビジョンに対する住民コンセンサスの確立は必須。道路や交通機関を充実させ、医療そのものは必要最小限の軽装備にするか、あえて自己完結型の医療を目指していくのか、そうなるならその具体策は…?などなど

首長が現場も考えず勝手に、できもしないことをさもできるように住民に約束したり、逆にやるべきことをやらなかったり、あまつさえそれで生じた赤字や住民の不満まで医療従事者の責に帰す。当然心理的圧迫も強くなり、もともと地域では余所者だった医師は居づらくなってしまう。

そもそも医師の能力にはある程度の偏りがあるし、そのマッチングだってしていなかったりする。一体自分は何のために来ているかだってわからなくなる。はたして自分はここに居る必要があるのか…

そんなことが最初からわかっている施設に誰が好き好んで行こうと思うだろうか?決して報酬や待遇なんかの問題じゃない。

「民度」の問題を持ち出す人もいるが、ここらへん事務職の責任は非常に大きいと考えている。

私自身は医師の報酬を下げることには実は反対ではない。ただ、現状を考慮すると僻地の医師招聘や医療体制・医療資源の確保に責任のある事務職の幹部クラスには、医師と同等かそれ以上の待遇があってしかるべきと思う。

そのかわり、医療体制の維持確保に関するビジョンの策定や、住民との合意形成、首長の方針とのすりあわせ、首長交代による激変の緩和などにはきちんと責任を持ってもらう。

この仕事、ちゃんと真面目にやったらとても大変。とくに住民の合意形成などという仕事は想像するに余りある。良心的な自治体であっても、院長とか現場のトップが片手間に講演とかやっているのがせいぜい。いかにそういう仕事が評価されていないかの証左。

地域の医療体制の適正規模での維持(必ずしも縮小のみとは限らない)と、それに対する住民合意の形成、という(事務だろうが医者だろうが)とってもしんどい仕事・努力に対して余りにも過小評価しすぎたことが、地域医療崩壊の一因をなしていたのかも…。

医療資源確保競争に敗れた地域にも住民は存在する。田舎であれ都会であれ、まずは住民・役所・首長・議員自身が「自分たちは敗れたのだ」と現実を認識すること。それなしに先へは進めないと考えています。

全床療養転換も,実際に急性期病床が実質療養病床的な使われ方しかされていない地域では一法ではあるかも.需要に応えるという意味では….

生き残れなかった地域の住民が一気に流れ込んできて,急性期を扱う後方病院でこうも次から次と長期の社会的入院を要求してくる様を見るのも何とも….町そのものの良識が疑われてますよ….

それでもオラが町に急性期病床がほしいなら,その需要があることを住民が身をもって示すべきだった.崩壊に至る前に….

ファミレスに行って食事もせずに飲み放題のドリンクバーを飲む人ばかりが利用したらそりゃ,店潰れるだろう…

そして周辺住民はファミレスはメシがマズイから隣町の専門店街まで出かけてくるんだと吹聴してまわる…その行為自体は問題ないけど,それでファミレスが潰れて「うちの町にはファミレスがない」とぶーたれるのは,かなりの問題でしょう.住民全体のインテリジェンスすら疑われかねない….

それを「民度が低くてどうしょうもない」ととるか,「改善の余地がある」ととるかは人それぞれ.私は後者から前者になりつつあるのを必死でこらえているが,当然後者でありたいと思っているし,後者の考え方をする人といっしょに働きたい.

(でも住民自身が改善の必要性を認識してくれなければ…)

ただのつぶやきです.具体的に何かを指しているわけではありません.
そう…ただのつぶやきです………

標題通り書き連ねたわけだが、一つ書いていないことがあった。

何度も書いていることではあるが、医療現場から医師が逃げて行く最大の原因は待遇ではない。現場と医療機関経営陣の目的意識のミスマッチだ。
ここをきっちりやっている自治体は強いが、難しいのも確か。
待遇に偏りすぎることを危惧するのは、こういった目的意識を共有できない、そしてそのことに問題意識を持たない医師を結果として呼んでしまうから。
一方で、地域の未来を真剣に考えることのできる医師を呼んだとしても、それに呼応することのできない残念な自治体も存在する。病院や診療所の存続そのものを目的としている自治体である。そういう自治体ほど、金で医師を釣ろうとする。

道内ではわりかしよく見る状況だが、この2つがコンボで存在する自治体住民は悲惨だ。

それに異を唱える住民のいない自治体はもっと悲惨だ。

また一方で、病院の存在そのものを目的としてしまっている自治体と、好待遇と自らの地位保全を目的に引っ掛かった医師とのコラボもある。ある意味目的意識を共有しているので医師は逃げて行かないかもしれないが、インターネットなどで内情を知ってしまったら真っ当な医師は絶対に寄り付かないだろう。

「地元の雇用確保」「地元経済の維持」を理由にそれらを正当化する論もある。経済をすべてに優先することの許されたバブルの時代なら正しい論かもしれない。だが、経済的・人的医療資源が広域行政レベルで、あるいは国家レベルで有限であるという事実が示されてしまった現代においては「暴論」と断じるしかない。

旧藤沢町のような素晴らしい見本があるのだから、真摯に学ぶべきであろう。

« 【Dr.SAMMYのヘリコバクターピロリ除菌日記】第五日目 | トップページ | 【Dr.Sammyのヘリコバクターピロリ除菌日記】第六日目 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

”医療崩壊”について」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 現場と医療経営の目的意識のミスマッチ:

« 【Dr.SAMMYのヘリコバクターピロリ除菌日記】第五日目 | トップページ | 【Dr.Sammyのヘリコバクターピロリ除菌日記】第六日目 »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック