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「ETV特集~わがまちに医師を~」とりあえず見てみました

NHK【ETV特集】わがまちに医師を~地域医療と霞ヶ関の半世紀~
http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/1007.html

やっと録画をみることができました。

大いに関連のある話題だったので。



たしかに自由開業制のもとでは、医師が田舎に居着くというのは難しいかも知れません。

田舎に開業、というのは、もともと土着民であったのでなければ大変にリスキーです。

もともと医師という存在自体が地域の中でマイノリティー、というのもありますが、

それにもまして医師の特殊性は「自分の存在そのものがまちのセーフティネットとなる」というところにあり、

そこを十分に理解して田舎に赴任しないと、あとで「逃げるに逃げられなくなり」後悔することとなります。

まして開業などしてしまったら、その後地元有力者とうまくいかなくなったり、何らかの事情で

その町に居づらくなってしまったときに逃げ場がなくなります。

都会ではそのようなことはないとまではいいませんが、田舎ほど露骨ではありません

はっきり言いましょう。


そんな場所に自ら好んでわざわざ借金までして開業するお人好しがどれだけいるでしょうか?



私は北海道の田舎が好きでこの仕事を選びましたが、開業して居着こうなどとは絶対に思いません。

公営、あるいは代えのきくグループ医療機関でなければ自分の居場所はないと考えています。

それが自ら、そして自分の家族に対するリスクマネージメントと考えています。


現在でも過疎地からは若年人口がどんどん流出しています。

田舎の社会は、これまで自分たちが作ってきたものを守ろうとするあまり、

新参者や若者にとって大変居づらい場所となっています。

そして社会の構成者は高齢者が中心となり、その高齢者が構成する社会を守るため、

更に若者が居づらくなると言う悪循環、そのうち学校・雇用が消えていき、更に過疎化に拍車がかかる。

こうやって社会が壊れていくと、

旧弊や因習を守ろうとすること、それが崩壊のトリガーにもなってしまいます。


自前で医師を養成できない限り、田舎に来る医者は例外なく余所者です。

かりに自前で養成できたとしても、それもまた「地元出身の若者」の一人であるということを忘れてはなりません。



また、医師のみならず医療資源は、自治体固有のものではなく、国・社会の大切な資源でもあります。

きちんと世代間・地域間で共有をして、少しでも効率的な活用を考えるべきです。

そう考えるとおらがわがまちに医師を」というキャッチフレーズ自体がそもそもおかしい

ということに気づくでしょう。



医師不足云々の前に、若者が流出しないでも生活していける町作りを、

「まちの長老たち」が知恵を絞って考えるべきです。

自分の地域だけが、自分の世代だけが、よければいいという考え方が、

現代社会の矛盾を作り上げてきた、そういう反省をできないから

(医療従事者を含む)若者に見捨てられたという現実をしかと受け止め、

そこから議論を出発する、それしか医療過疎の解決策はないと、最近強く思わされます。


少なくとも、地域社会が内包する根本的な問題を「自由開業制」の問題に矮小化してはならないと考えます。

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