« 就職チェックリスト | トップページ | 島のお医者さんが、がんになった… »

(続)「医師が行きたくなる病院」とは(「ちゃんねる」様のコメントへの回答)

以前のエントリー(「医師が行きたくなる病院」とは)をまずお読みいただければ幸いです。

このエントリーに対し、「ちゃんねる」様からコメントをいただきましたのでこちらにも再掲します。
(このブログ、コメント見づらいので…)

(以下引用)

ニーズがあり、
なおかつ「ニーズがあっても行きたくない施設」に該当しない病院が
「行きたい病院」ということになるんでしょうか。
先生の「ニーズがあっても行きたくない施設」に該当するかどうか、勤務前から見抜くのはなかなか難しそうではあります。何か良い方法があればいいのですが・・・

(引用終わり)

コメントありがとうございます。
「行きたくない要素」もニーズもない病院にはもっと行きたくありません(笑)

冗談はともかくとして、
人口、住民の疾病構造、隣接市町村施設への医療の依存度、予算、
医師増加にともなう業務量の増加を病院スタッフが吸収できるか、
住民の希望(これは「ニーズ」ではなく「wants」なので混同してはいけません)…などで
総合的に判断されるべきものがいわゆる「ニーズ」と考えています。

「行きたい病院」というのはあってもよいですし、
自分自身もこういった病院に「行きたい」と考えてはいますが、
私は自分自身が北海道の人事で配置される側でもあり、かつ配置する側の立場にも近いので、
どうしても「自分が行きたいか」よりは、
「配置する側として自分のような医者を配置するのが地域にとって望ましいか」と考えてしまいます。

あくまで「行きたい」から行くのではなく、「必要だから」行かなければならないというスタンスです。

実は私、以前に取りざたされた「医師の強制配置」論、必ずしも反対ではないのです。
(もちろん医者だって家族もあれば子供もいる人間ですし、キャリアパスだってあるので
もろ手を挙げて賛成というわけではないのでお間違いなきよう…)

しかしながら、今の医師養成制度で、かつ医療行政とくに都道府県や市町村が
長期的な医療・保健・福祉政策のビジョンもなくただ目先の首長選挙のことを考えて
医師免許持っていればどなたでもというスタンスで医師集めをするような状況で
「医師の強制配置」をするならば、地域医療そのものが崩壊します。

そのような能力は残念ながら現状の都道府県や市町村には、ありません。

あと、研修に関してですが、こちらはマッチングという制約はあるものの、
部分的には「行きたい病院」に行ける制度が確立しています。
ただ、これがいいことかどうかはのちの評価が待たれるところです。

よって「行きたい病院」を論じるのはナンセンスであり、
現状では自分が行くニーズがあるかどうかを考えるべきというのが私の立場です。



さて、もう一つの質問、「ニーズがあっても行きたくない病院」の見抜き方ということでしたが、
私も100%の自信はありません。何度も失敗しています。

しかし、地方の小病院の場合、ある程度なら情報は手に入ります。
今はインターネットの時代です。

まず、当たり前ですが、病院サイトを見ます。
患者受け入れ数を見ると、内科医も外科医もいるのに、何故か外科外来来院数が内科の2倍以上
というところもあります。
こういったところでは、内科医と外科医の仲があまりよろしくないと見るべきです。

病床利用率や、入院・外来患者数は「自治体病院改革プラン」の表を見るとわかります。
そこで平均在院日数を計算すると、とんでもなく長い病院があります。
一般病床の不適切利用が想像されます。更にその原因として、議員・まちの有力者の存在が
隠れていることもあります。そこは実際に就職の交渉をするに当たって突っ込みどころになります。

院内の人間関係については全てを知ることはさすがにできませんが、
これも面接のときに院長や副院長が出てきたら、お互いの評価についてストレートに聞くと
よいかもしれません。すくなくとも身内なのですから、建前だけでもほめるはずですが、
それすらないようであれば、人間関係の不和が顕在化していると思って間違いないでしょう。

そんな病院に行けば、院内の派閥争いや医師同士の喧嘩に巻き込まれてひどい目に遭います。

あと医師不足の町や病院の赤字が問題になるような町では、それに言及するブログや、公式サイトQ&A
などもありますし、そういうところで医師がいなくなったせいで云々、とか、過去の新聞記事に
「医師に見捨てられた」とかそういう恨み事が頻繁に書かれているようなところは厳しいです。

仮にそれが少数の方であったとしても、そういう方の声は大きいです。数より声量が問題です。

医療スタッフの数は公式サイトでも確認できます。
この病床数と実際に稼働している病床数(休床数を引く)、平均在院日数、外来受診患者数などを
総合すると、大体どんな感じでどんな内容の仕事をしているのかは想像がつきます。

あとは2チャンネルの地域医療崩壊スレッドや、まちBBSのスレッドなども参考になります。
むろん正しい情報かどうかは読む方の解釈に委ねられますし、ヤバそうな情報なら裏取りは
絶対に必要です。

そうそう、町の福祉体制も重要です。老人ホームが何軒あって、何床もっていて、回診は
どこの施設がやっていて…というのはとくに内科系の場合モロに仕事内容にひっかかってきます。

参考までに、私が実際に就職先の評価につかっているチェックシートを提示します。
よかったらご参照ください。

ただ、これだけやっても失敗するときは失敗します。それはしょうがないです。
人間我慢も大事だし、よほど非常識な施設でなければ
それが我慢できないようであれば自身の地域医療への適性も含めて再考すべきでしょう。
地域医療とはそういうフィールドです

答えになっていないかもしれませんが、こんな感じでよろしいでしょうか…。

« 就職チェックリスト | トップページ | 島のお医者さんが、がんになった… »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

地域医療」カテゴリの記事

”医療崩壊”について」カテゴリの記事

コメント

却って,明確にお答えできなくてすみません.
また気になるところがあればいつでもご質問ください.
いつもお読みいただき,ありがとうございます.

御回答誠にありがとうございました。
色々な施設を経験された先生の意見は大変参考になりました。
これからも更新を楽しみにしています。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 就職チェックリスト | トップページ | 島のお医者さんが、がんになった… »

2020年8月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

最近のトラックバック