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病院のダウンサイジング~米内沢総合病院の件で考える~

米内沢総合病院:民間移管を断念 4月から診療所に--北秋田市長表明 /秋田

羅臼町や,夕張市の例もありますが,なかなか,医療機関のダウンサイジングというのはえてして一筋縄ではいかない事例が多いですね.

この地域の特性などは知らないので,あくまで記事やネット情報から類推するしかないのですが,隣町である上小阿仁村と北秋田市で作る一部事務組合立の病院で,15科,254床というのですから,かなり大きな病院であったはずです.

まず,北秋田市民病院への集約化構想に伴って,職員の集団退職騒動があり,以後は慢性期病院としての存続を考え,民間移譲を試みるも引き受け手が現れず,結局診療所に格下げという風に記事からは読めます.

しかしながら,このダウンサイジング,おそらく当初からきちんと計画されたものではなさそうです.254床を擁する病院の建物のまま診療所化を行うことの非効率性(夕張を見ればわかる)や,診療所で心臓外科を標榜するという意味のわからなさも,状況に引っ張られなし崩し的に急ごしらえのダウンサイジングとならざるを得なかったことを物語っています.

今後,医療の高度専門化がますます進めば,更に大病院に人手が必要になり,農村漁村山間部離島などの医療の対象人口自体も過疎化で減少傾向となるでしょう.
限られた経営資源の範囲内で広域医療を安定維持していこうとするならば,その人口や地理的条件から見て過度に大きな医療機関のダウンサイジングは必要です.

しかし,医療施設のダウンサイジングが,そのまま地域医療そのもののダウンサイジングにつながる事態(地元で死ぬことすらできない…とか)は避けたいものですし,それを巡る職員・住民との衝突も可能な限り避けなければなりません.

そのためには,病院のもつ様々な機能の中で,何を他に委ね,何を地元で維持すべきかをきちんとした哲学に沿って明確に決定し,それを住民に納得してもらう努力というか計画性が必要ですし,住民側や職員側にも,おらが町の病院を現状で存続させることが本当に長い目で見て良いことなのかどうかを真剣に考える必要があるでしょう.

行政の確たる長期的ビジョンをベースにした堅固かつ能動的なダウンサイジング構想(単に医療面だけでなく,職を失う人たちの雇用対策や病院を縮小することによる地域経済への影響の対策なども含めて!)と,住民・職員のダウンサイジングの必要性に対する深い理解,そして隣接自治体との良好な関係,この3者が揃うことが,病院のダウンサイジングを進めるには必須条件であり,「地域医療の先進地」夕張といえども,残念ながらこの点では成功しているとは言い難いなという印象です.

羅臼町などは,3つとも揃わず,ダウンサイジングそのものも受動的であり,結果として大失敗して地域医療そのものまで崩壊した悪例の筆頭格になってしまいました.

正直,じゃあどうすればいいのか…偉そうなことを書いた私自身も確たる方策が見いだせておらず,まだまだ勉強が必要と思っています.

どこか,スムーズかつ遺恨を残さないきれいなダウンサイジングの見本を見せてくれる自治体はないものですかね….
なければ人に頼らず自分で作るしかないか…う~む.

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