紹介文(必ず先頭に表示される設定としています)

 医師20年目の公衆衛生医6年生です。14年間にわたる北海道の僻地・離島を中心とした一般・消化器内科診療活動ののち転向、道内某所の保健所に勤務しています。
 このブログの狙いは,「知識・経験のある医師が,無知な一般人を啓蒙する」といったたぐいのものではなく,「住民とともに成長する地域医療」を目指し,理想の地域医療を追求していくことです.基本的に医療万能,医療が全てに優先する,といった立場はとりません.マチづくり,インフラ整備の一環としての医療を追求していく立場から,このブログを立ち上げました.
 同意・批判も含めたコメントをいただくことによって,自分も成長することができます.それをさらに地域に還元していきたいと考えています.このため,コメントには可能な限り返信をするようにします.
 ただし,「患者叩き」や,単なる「『医療叩き』叩き」に終わるような非建設的な議論や,私以外の個人に対する誹謗中傷のブロック,あるいは個別の患者さんの秘密保持などのため,コメント・トラックバックは承認制とさせていただきますことを何卒ご了承ください.そういったものでなければ,私にとって「耳の痛い」コメントも含め,基本的に全部掲載という方針とします.
 また、コメントで個人や特定団体の批判をされる場合は、内容によっては直接コメントに投稿せず、自分のブログやホームページ、SNSなどのアドレスを示すようお願い致します。コメント内容に関しての名誉毀損訴訟などはブログ主も法的責任を問われますので、たとえ内容が正しくとも掲載できない場合がございますこと、ご了承ください。なお、内容を修正した場合、コメントを掲載しなかった場合は理由を添えてコメントでお返しします。
個別の健康問題に関する相談は近隣のかかりつけ医に、公衆衛生上の問題に関する相談は所轄の保健所にお願いいたします.また,本ブログに掲載した内容は全て私個人の意見であり,勤務先や自治体の考え方を代表するものではないことをお断りしておきます.
 また,本ブログの文章を出版物に引用する際は,お手数ですが右サイドバー下から2番目の「メール送信」から必ずご連絡ください.著作権は放棄しておりませんのでよろしくお願いいたします.(ネット上での引用なら不要ですが,できれば連絡いただけると嬉しいです)
 何卒,よろしくお願いいたします.

北海道COVID-19の現況および、道民のみなさまへのご協力御礼

1_20200510124701

前のエントリーが、北海道の緊急事態宣言の解除についての話題だったので、
その間、いろいろ忙しくなってしまい、こちらに投稿することかなわずといった状況でした。

本来であればリアルタイムでアラートを出していければよかったのですが、
一応建前上匿名のブログですので、できることとやらないほうがいいことがあります。

そんな中でも、とりあえず公表されているデータをもとになにかできることがないかなと
思いましたので…。
2

3_20200510124701 4_20200510124701  56

道で確保していたベッドが500床と公表されていたところ、
499床で減少に転じるとは、あまりに出来すぎという方もいらっしゃるかもしれませんが、
これは全道で積み上げた値の増減に基づくものですので、まあ単なる偶然です。

とはいえ、だからよかったよかったというわけではなく、
札幌(およびその周辺)は、まだ厳しい状況を脱したわけではありません。

最近の統計を見る限りでは、全国でホットスポットと言える場所は、
もはや東京と札幌しかなくなってしまいました。

この疾患の特性上(無症状者が多く、感染源になりうることや、検査の感度の問題)、
国内から排除、根絶はもはや不可能なのは自明の理ですが、
せめて「小康状態」と言えるところまで持っていかないと、
いつまで経っても社会経済活動をもとに戻すことはできません。

ただ、グラフで見る通り、
長らく市内の病床受け入れ可能数を上回る患者数であった札幌も、
ようやく現行治療中の患者数が減少に転じてきました。
これが本当に減少傾向なのかは、
GWとその後の土日による受診者数そのものの減少の影響を脱した、5月13日以降でないと
評価が難しいところがありますが
PCRの陰性確認が多く出ないと治療中の患者数の減少はないので、
その意味ではいい傾向だと思いますし、
純粋に道民のみなさまの、いろんなご協力に対しまして感謝申し上げるものであります。

この疾患の特性上、効果の確立した治療が広く行われるようになるか、
あるいは有効なワクチンができるまでの間は、
自粛→緩和→自粛→緩和の繰り返しを余儀なくされることになるであろうことは
専門家会議からもコメントされていますが、
おそらく年余にわたる長丁場をなんとか乗り切るために、みんなで知恵を絞って
頑張りぬきましょう!

「緊急事態宣言」が明けて

Kinnkyuuzitai0228 Aratanastage0318_1

 もう、COVID-19一色で、他の仕事がほぼ完全に吹っ飛んでしまっている状況です。
 実は職員に「お前は働きすぎだ」とダメ出しをされ、
 この3連休は何か大きなことが起こらない限りなかば強制的に休まされている状況です(汗)。
 むしろ現場で汗を書いている医療従事者の皆様には申し訳ないというか…。

 まあそれでこのような駄文を連ねる時間が多少できたというわけです。
 (もちろん、管内の発生状況等の報告は適宜電話で受けていますし、何か起こればすぐ出勤できる状況はとってます)

 基本的な気持ちは先週の知事会見や専門家会議と一緒で、
 ・爆発的な患者増加に伴う医療需給バランスの崩壊による異常事態はとりあえず現時点で少なくとも先延ばしにはできている
 ・緊急事態宣言や学校休校も一定の効果はあり、安堵している。
  (この状況では、収束していなくても新規感染者数が現状維持~若干減であれば、成功と考えるべきです)
 というのが正直なところです。
 今後も
 ・オーバーシュートを起こさせない→クラスタの芽を丁寧に潰し、できてしまったクラスタは徹底的に封じ込める
 ・感染連鎖が起こると致命的になるような場所・集団に波及させない
 が目標であることは変わらず、まだ体制を緩めることはできないと感じています。

 それに加えて、もし「オーバーシュート」が起きてしまった場合の備えも同時進行で行っていかなければなりません。
 当初の予想以上の長期戦、持久戦になりそうです。

 一方で、このような強い措置をやりますと、
 効果よりも副作用の方が先に出てくるのが常です。
 しかも効果というのは、良くても「何も起こらなかった」という極めてわかりにくいというか認識しづらい効果なので、
 はたから見ると結果的に副作用しか見えてこないということもまた、こういった対応ではよくある話です。

 いろいろあって、私自身のCOVID-19に関わる仕事自体の内情はほとんどお話できませんし、
 一昨日、専門家会議の新たな見解も出た中、
 医学的なことや感染防御策について私が語るのも屋上屋を架すようなものなので、ここではやりません。
 (某所では実名で、仕事で市町村や上司へのプレゼン、職員教育用に使っているスライドを
  限られた範囲で共有していますが、いろいろあってここではやりません。)

 そういうのはぜひ、テレビに出ているような「感染症に詳しい○○」ではなく
 感染制御や危機管理に責任をもって現在も実践に当たっている人の責任ある発言
 (お前もそうだろ、と突っ込まれそうですね。ただここは「一応」匿名ブログなので、読む人の判断になります)や
 学会声明を参考にしていただくとよいです。

 できれば、マスコミのフィルターを通さないことをおすすめしますが、
 完全にマスコミをシャットアウトしてしまっても必要な情報を得られないので、
 自治体の医師や実際に治療に当たっている医師の署名記事(読めれば論文そのもの)、
 あるいはNHKニュース速報アプリの会見生配信などがよいです。

 都道府県や保健所設置自治体首長さんの談話も、
 少なくとも科学的事項や事実関係は必ず所属行政医師のチェックを受けているので
 そこについては信頼できます。

 私自身も仕事上では情報をわりと積極的に発信しているのですが、
 そこで気をつけていることは
 ・突飛なことを言わない。賛否両論が割れて論争になっているところにはあえて踏み込まない
 ・最先端を狙わない。新知見は他の多くの専門家の評価を待つ。
 ・臨床感染症や感染制御の専門家からみて、「当たり前すぎてつまらない」と思えるようなことしか言わない
 ・最悪ケース想定の共有と、無闇矢鱈に不安を与えないことの両立を目指す
 ・表立った政府や行政体の批判や、「こうすべきだ」論は(できるだけ)言わない
 ・不用意に不安を与えない。不安の裏返しである、人々の怒りや悲しみといった感情を無用に掻き立てることは言わない

 といったところでしょうか。

 でも、これが本当にちゃんとできているのは、やはり学会声明であり、専門家会議声明だったりします。

 これからは、
 ・事態を冷静に受け止め
 ・最悪ケースを想定しつつ
 ・次に行うアクションは何かを学び、考え、実行する
 これを、政府、都道府県、市町村、各医療機関、住民、それぞれの立場で実行していかなければなりません。

 このどれが欠けても、感染症対策はうまくはいきません。

 また、感染症の恐怖に民衆が冷静さを失いパニックになれば
 感染症で失われる以上の多くの命が失われる可能性もあります。
 我々は「公衆衛生」に責任ある立場なので、たんに感染症を制圧するだけではダメなのです。
 政治と連携して、人命についても経済的にも「最小被害」を狙っていかなければならず、
 そこは医療・保健だけでない「さじ加減」が必要になります。

 誰からも文句の出ない方策なんて、最早とれる状況ではありません
 そこは我々行政が責任もって引き受けなければならないところです。

 医学・医療・保健の素人でありながら責任ある立場にある自治体幹部や首長に寄り添い、
 その政治決断を専門的知識をもって支え、
 行政体全体として住民の社会生活の維持に全力を尽くす、

 それができるのがわれわれ「公衆衛生医師」の専門性そのものであろうと確信しています。

 COVID-19で命を落とす人を一人でも少なく、
 そして、COVID-19のせいで、COVID-19以外の原因で命を落とす人も一人でも少なくするために、
 我々は、少なくとも私は、与えられた立場で全力を尽くしていますし、今後もそうありたいと思っています。

 引き続き、力を合わせ、この難局を乗り切りましょう。

 

「非公表」がデフォルトで、「公表」が当たり前ではありません。(自治体情報公開チキンレース合戦に思う)

新型コロナの道内1例目発生以来、初めて一日お休みをいただきました。
所管地域の一部がホットスポット化しつつあり、知事から「緊急事態宣言」まで出てしまった状況の中で
いろいろなことに心を痛めながら関係者の一人としてなんとか事態の収束をと日々奔走しています。

久しぶりにお昼まで寝ていようと思ったのですが、朝から結構な頭痛があり、起き出してしまいました。
ロキソプロフェンという文明の利器のおかげで、今はなんともありません。
今日一日は知事から外出自粛要請もあり、自宅でゆっくりしていようかなと…。どうせ何かあればすぐ呼ばれるのだし。

それはそうと、このコロナパニックの中で、全国の自治体が首長さんまで巻き込んでの「個人情報公表合戦」の様相を呈しており、
プライバシーとの兼ね合いで「いかに速く、どこまで公開できるか」のまさにチキンレースになっています。

大変、空恐ろしい事態になっていると感じています

私としては、いずれどこかの自治体が個人から訴えられる日が来るのではないかと戦々恐々としています。

このチキンレースに破れた自治体には、もれなく記者会見におけるマスコミの猛攻撃が待っています。
詳しくは、NHKニュースサイトの記者会見生配信をご覧になっていただければ、よ~くわかるかと。

で、厚労省事務連絡も出てきました。
一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本指針」(PDF)
二類感染症に準じる特定感染症であるCOVID-19も、これを踏まえるそうです。
各自治体からも、国に対してどこまでの情報公開をすべきかガイドラインを作るべきだとの
声が強くあり、それに厚労省が応えたものとも言えます。


さて、ここで整理すべきを整理しておきましょう。

刑法第134条第1項
「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」

国家公務員法第100条第1項
「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」

地方公務員法第34条第1項
「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」

行政機関個人情報保護法第7条
「個人情報の取扱いに従事する行政機関の職員若しくは職員であった者又は前条第二項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。」

自然災害や公務員の不祥事などにおけるリスクコミュニケーションでは、
「隠し事をしない」「言えることは全部言う」、その中で「言ってはいけないことを選別する」というのが基本です。
しかし、医療に関しては私は考え方が逆と思っています。

基本、今公表されている情報は、「全て言ってはいけない情報」なのです。
その中で情報をセレクトして、本人・家族にマスコミ開示の許可を得て、公衆衛生上必要な最小限の情報を出す、
というのが医療における個人情報公開の本来あるべきスタンスなのです。

ここが他の行政情報と、医療に関する情報の大きく違うところです。

これを勘違いして、
「出すのが当たり前」と思っている人が
あまりに多く辟易とします。

今回のコロナ事案に関して情報公開のあり方について上司(非医療職)とdiscussionをしたときに、
これを少しヒートアップしてお話してしまったのですが、
いやでもね、これ、医療は違うと言っても一般にはわからないよ。言わないと。
そう言われてしまいました。

本当に、そのとおりと思いました。上司の言う通りです。
このことを、誰も言ってないんです。
どうです?恐ろしいでしょう?コロナよりずっと。

なら、今まさに当事者の一人となっている私が言います。

医療情報はほぼ全てが個人情報です。
それを公表すること自体が「本来はいけない」ことなのです。犯罪なのです。
それを公衆衛生上の必要性と比較考量しながら、
本人・家族の許可を得て、違法性を阻却した上で「必要最低限」の個人情報を発言しているのです。

厚労省も感染研も、どこの自治体もそうだと思います。
それが当たり前なのです。
決して、公表するのが当たり前なのではありません。
「言えることを最大限に全部言う」のは、法解釈上も間違っています。
「出すのが当たり前」ではなく、
「隠すのが当たり前」なのです。

今一度、そこを認識いただいた上で、マスコミの皆さんにも情報収集にあたっていただきたいですし、
マスコミ情報に触れる一般の皆様にもこれは本当に十分に認識していただきたいと思っています。

私も、このコロナパニックでは、「現場に近い当事者」の一人になってしまいましたので、
(いつ「現場」になってしまうかはわかりませんが…)
一日も早い収束を目指して、知事の言うように「やれることは全部」やっていきたいと思っています。
改めまして、道民・そして国民のみなさまのご協力を、よろしくお願いします。

保健所は一体、何をやっているのか!?~新型コロナウイルス肺炎


ご無沙汰しております。
こういったブログ投稿をしておりますと、ファクトチェックの手間がすごくかかるので、なかなかポンポンとコンテンツを上げられない状況が続いております。

そんな中ではありますが、新型コロナウイルス肺炎が中国・武漢を中心に発生し、
厚労省の1月27日付発表では、1月24日12:00現在で、中国で2,744名の感染者が診断され、80名が死亡する惨事となっています。

一応公衆衛生医師のブログを名乗っている以上、さすがにこれをスルーすることはできません。

とはいえ、収集可能な情報は厚生労働省のサイト国立感染症研究所のサイトから収集できますし、
WHOのサイトWPROのサイトなんかでも様々な情報が発出されているわけです。

感染症専門の医師がわかりやすく解説してくれていたりもしますので、
今更屋上屋を架すが如きをやってもしょうがないので、
ウイルス学的事項や医学的事項についてはそれらのサイトを御覧ください。

SNSなんかを見ますと、何かあればまず保健所に連絡、という投稿が至るところに見られ
様々な広報の成果が現れているようで、ありがたい限りです。

ただ、じゃあ保健所は何をやっているのか、というのが一般市民の皆様から見えづらいのもまた事実です。

どうしてかというと、実際の事例が発生するか、直接の相談を受けたりしない限り
通常保健所が相手にしているのは個々の市民ではなく、
管内の市町村だったり、医療機関だったり、あるいは今回のような例なら、宿泊施設さんだったりするからです。

「保健所は啓発を行わないのか?」という声もありそうです。
例えば北海道のホームページでも触れてはいますが、
あまり細かいところまでの記載はしていません。

これはどうしてかというと、
厚生労働省や国立感染症研究所からの通知やプレスリリースなども1日1日変わっていく中で、
どれだけ急いで更新したとしても、リアルタイムにならず、結局「遅れた情報」になっていくばかりでなく、
ちょっとした情報の齟齬が混乱を引き起こす可能性が大きいからというのもあるかと思っています。

「ならば、国や国立感染症研究所のHPをみてください」という方が早くてかつ正確で即時性があるからです。

だから、住民のみなさんから見えない裏側ではいろんな調整に動いているのですが、
表立って「保健所が何かをしている」ようには見えないのです。

一方で、「疑い事例」が出ると話は変わってきます。
おそらくどこの保健所であっても、「疑い事例発生時フロー」や「マニュアル」などを作成したり、
患者受入が想定される医療機関との調整を事前に行ったりして、
いざ事例発生の際にはすぐに動けるように準備をしているわけです。

具体的には、疑い事例が出た場合の行政検査の手配と検体の発送(現在は国立感染症研究所ですが、もうすぐ各地方衛生研究所レベルでも調べられるようになるはずです)、
当該患者さんの医療の手配・受診調整、サーベイランスの届け出窓口としての業務、
然るべき医療機関への患者さんの移送、
そして確定例となった場合は、国や都道府県とも連携しながら、
本人の疫学調査、濃厚接触者の追跡フォローなどの感染拡大予防対策を行っていきます。

「疑い事例はその時点では公表しないのか?」「検査陰性の公表はしないのか?」という声が聞こえてきそうです。

仮にそのような事例が発生したとして、検査が陰性であった場合、
保健所や自治体が発表した情報から個人や場所の特定につながれば、
それは「重大な人権侵害」につながってしまうことになります。

一方で、検査陽性例、つまり確定例については、これまでの例から
厚労省が対応し、「感染拡大予防対策に必要な情報のみを公表」することになります。
実際、厚労省の記者会見の模様をライブで何回か見ましたが、
感染拡大予防に関係ない情報については公表しない方針を貫いていました。

問題は検査の結果待ちとなっている疑い事例です。
厚労省のサイトによれば
1月27日12:00現在で、国内で14件の検査を行い、うち4件が陽性(つまり公表されている確定例)でした。
裏を返せば、14件検査をやって、10件が陰性であるわけです。

感染症対応においては「人権やプライバシー」と、社会防衛の概念は
時に相反するものとなります。
その匙加減は大変に難しいものです。

たとえば報道各社にしても、記事にするネタが欲しいでしょうから、
当然いろいろなことを聞いてくるわけです。
それはそういう仕事なので仕方がないとは思います。

しかしながら、社会防衛のために、感染者、あるいは疑い症例の人の人権やプライバシーに
制約を加えて良いということになりますと、
それはかつてのハンセン氏病の悲劇を繰り返す端緒となりかねない、ある意味危険な考え方でもあります。

行政としては、その匙加減を慎重に図りながら、やっていくしかないのです。

「健康危機管理」という言葉があります。

住民という集団の健康を害する可能性のあるリスクとしては、
今回のような感染症であったり、集団食中毒、環境汚染、水質汚濁、はたまた毒劇物を使用した犯罪であったり、
あるいは地震・大雨のような自然災害であったり、あるいは戦争や騒乱なんかまで挙げられます。

そのような危機的状況において、住民の健康を政策的手段で守るための方策が、
いわゆる「健康危機管理」なわけです。

具体的にはリスクに関する調査を行い、いろんな可能性を潰していき、
そしてそのリスクを他部局と協力して取り去る、あるいは実際の有害事象として住民に害が出る前に
食い止めるというのが危機管理の手法となります。
根本的手段から姑息的手段まで、有効と思われる様々な手段を用いることになります。

現在中国で行われている旅行制限や移動制限もその一つの手法です。

しかし、通常の状況でそんなことをすれば当然日本では人権問題になるわけで、
そこは、対象となる健康危機のトータルでの怖さによってさじ加減を変える必要があるわけです。

こういった危機管理や、危機に際しての陰での調整作業なんかはなかなか見えにくいところなので、
それもあって、有事に保健所が何をするのかが分かりづらいということになってしまいます。

今回のコロナウイルスにはまだまだわからないことが多くあります。
しかし、それと同時にわかってきたこともいろいろ出てきました。

国、都道府県、保健所、そして各市町村、医療機関、その他の施設など
さまざまなクラスタが協力しあって、なんとか人的被害を最小限に食い止めるべく
頑張っていかなければなりません。
みなさまにおかれましても、行政や自治体から協力依頼がありました際には、
何卒ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

各自治体ごと行政医師募集リンク集(九州・沖縄)(2020年1月20日現在)

おまたせしました。これで最終となります。

九州

福岡県(今年度の応募終了) 北九州市(募集期間終了) 久留米市 大牟田市(県への移管に向け調整中) 福岡市(募集期間終了)
佐賀県
長崎県 長崎市 佐世保市
熊本県 熊本市
大分県 大分市
宮崎県(所属行政医師によるコラム。応募サイトへのリンクは切れている) 宮崎市
鹿児島県 鹿児島市

沖縄

沖縄県 那覇市



公衆衛生医師の業務内容については、こちら(全国保健所長会サイト)や
厚生労働省のサイトを見てください。
拙ブログの「公衆衛生医師のお仕事」カテゴリーもご参照いただけると幸いです。

注意事項
・あくまで公衆衛生・地域保健や保健所勤務に興味のある医師向けに情報提供の目的で編集したものです。
・都道府県名のリンクは都道府県立保健所や本庁医師の募集、
 市名のリンクは保健所設置市(指定都市・政令市・中核市)の行政医師募集です。
・リンクは2020年1月20日現在のものです。リンク切れ・内容変更その他ご容赦ください。
・「保健所 医師募集」「公衆衛生医師 ○○(自治体名)」などで検索した結果でリンクしています。
 なるべく網羅を心がけましたが、所詮個人のサイトなので、漏れはご容赦ください。
 むろんですが、内容の正確性には責任を持ちませんのでご了承ください。
・リンクのない自治体は求人案内へのリンクの見つけられなかったところです。
 ちゃんと丁寧に探せばあるのかもしれませんが、あくまで個人サイトなのでそこは勘弁してください。
 また、その中には、現在医師を募集していない自治体も含まれていますのでご理解願います。
「ここが漏れてるよ」とか内容の誤りに関するご指摘はもちろんありがたく受け付けますが、
 すぐに修正ができるとは限らないのでご容赦ください。

なお、あくまで個人の趣味による活動ですので、
 所属組織や職場、研究班等とは一切関係ありません。(毎回のおやくそく)

各自治体ごと行政医師募集リンク集(中国・四国)(2020年1月9日現在)

中国

鳥取県 鳥取市
島根県 松江市
岡山県 岡山市 倉敷市
広島県 広島市 呉市 福山市
山口県 下関市

四国

徳島県
香川県 高松市
愛媛県 松山市
高知県 高知市

九州・沖縄はまた後日。

更新を待てない方はこちら(全国保健所長会の求人ページ)へ
公衆衛生医師の業務内容については、こちら(全国保健所長会サイト)や
厚生労働省のサイトを見てください。
拙ブログの「公衆衛生医師のお仕事」カテゴリーもご参照いただけると幸いです。

注意事項
・あくまで公衆衛生・地域保健や保健所勤務に興味のある医師向けに情報提供の目的で編集したものです。
・都道府県名のリンクは都道府県立保健所や本庁医師の募集、
 市名のリンクは保健所設置市(指定都市・政令市・中核市)の行政医師募集です。
・リンクは2020年1月9日現在のものです。リンク切れ・内容変更その他ご容赦ください。
・「保健所 医師募集」「公衆衛生医師 ○○(自治体名)」などで検索した結果でリンクしています。
 なるべく網羅を心がけましたが、所詮個人のサイトなので、漏れはご容赦ください。
 むろんですが、内容の正確性には責任を持ちませんのでご了承ください。
・リンクのない自治体は求人案内へのリンクの見つけられなかったところです。
 ちゃんと丁寧に探せばあるのかもしれませんが、あくまで個人サイトなのでそこは勘弁してください。
 また、その中には、現在医師を募集していない自治体も含まれていますのでご理解願います。
「ここが漏れてるよ」とか内容の誤りに関するご指摘はもちろんありがたく受け付けますが、
 すぐに修正ができるとは限らないのでご容赦ください。

なお、あくまで個人の趣味による活動ですので、
 所属組織や職場、研究班等とは一切関係ありません。(毎回のおやくそく)

各自治体ごと行政医師募集リンク集(東海・近畿)(2020年1月6日現在)

東海

岐阜県 岐阜市
愛知県 名古屋市 豊田市 豊橋市(平成29年度の内容) 岡崎市
三重県 四日市市

近畿

滋賀県 大津市
京都府 京都市
大阪府 大阪市 堺市 豊中市 高槻市 枚方市 八尾市 寝屋川市 東大阪市
兵庫県 神戸市 姫路市 尼崎市 明石市(試験受付は1月6日で終了) 西宮市
奈良県 奈良市
和歌山県 和歌山市(リンク先からアクセスできるPDFは昨年度のもののよう)

中国・四国以西はまた後日。

更新を待てない方はこちら(全国保健所長会の求人ページ)へ
公衆衛生医師の業務内容については、こちら(全国保健所長会サイト)や
厚生労働省のサイトを見てください。
拙ブログの「公衆衛生医師のお仕事」カテゴリーもご参照いただけると幸いです。

注意事項
・あくまで公衆衛生・地域保健や保健所勤務に興味のある医師向けに情報提供の目的で編集したものです。
・都道府県名のリンクは都道府県立保健所や本庁医師の募集、
 市名のリンクは保健所設置市(指定都市・政令市・中核市)の行政医師募集です。
・リンクは2020年1月6日現在のものです。リンク切れ・内容変更その他ご容赦ください。
・「保健所 医師募集」「公衆衛生医師 ○○(自治体名)」などで検索した結果でリンクしています。
 なるべく網羅を心がけましたが、所詮個人のサイトなので、漏れはご容赦ください。
 むろんですが、内容の正確性には責任を持ちませんのでご了承ください。
・リンクのない自治体は求人案内へのリンクの見つけられなかったところです。
 ちゃんと丁寧に探せばあるのかもしれませんが、あくまで個人サイトなのでそこは勘弁してください。
 また、その中には、現在医師を募集していない自治体も含まれていますのでご理解願います。
「ここが漏れてるよ」とか内容の誤りに関するご指摘はもちろんありがたく受け付けますが、
 すぐに修正ができるとは限らないのでご容赦ください。

なお、あくまで個人の趣味による活動ですので、
 所属組織や職場、研究班等とは一切関係ありません。(毎回のおやくそく)

 

各自治体ごと行政医師募集リンク集(北海道・東北・関東甲信越・北陸)(2020年1月10日現在→仙台市の医師募集を追加しました)

北海道・東北

北海道 小樽市 函館市 旭川市 札幌市
青森県 青森市 八戸市
岩手県 盛岡市
宮城県 仙台市
秋田県 秋田市
山形県 山形市
福島県 福島市 郡山市 いわき市

関東甲信越・北陸

新潟県 新潟市
茨城県
栃木県 宇都宮市(栃木県医師会のリンク。2017年8月の情報です)
群馬県 前橋市 高崎市
埼玉県 さいたま市 川越市 越谷市 川口市
千葉県 千葉市 船橋市 柏市
神奈川県(受付終了) 横浜市 川崎市 相模原市 横須賀市(情報はH28.4.1現在) 藤沢市 茅ヶ崎市
山梨県(保健所長採用試験(2回目)終了) 甲府市
長野県 長野市
静岡県 静岡市 浜松市
東京都(八王子市、町田市を含む)
富山県 富山市(PDF)
石川県 金沢市
福井県 福井市


北から順番に順次上げていくつもりですが、
とりあえず今回はこれが限界です。

次は東海・近畿くらいまでいきたいと思います。
更新はいつになるかわかりません。
期待しないでお待ち下さい(^^;

更新を待てないかたはこちら(全国保健所長会の求人ページ)
公衆衛生医師の業務内容についてはこちら(全国保健所長会サイト)
厚生労働省のサイトを見てください
拙ブログの「公衆衛生医師のお仕事」カテゴリーもご参照いただけると幸いです。


注意事項
・あくまで公衆衛生・地域保健や保健所勤務に興味のある医師向けに情報提供の目的で編集したものです。
・都道府県名のリンクは都道府県立保健所や本庁医師の募集、
 市名のリンクは保健所設置市(指定都市・政令市・中核市)の行政医師募集です。
・リンクは2020年1月10日現在のものです。リンク切れ・内容変更その他ご容赦ください。
・「保健所 医師募集」「公衆衛生医師 ○○(自治体名)」などで検索した結果でリンクしています。
 なるべく網羅を心がけましたが、所詮個人のサイトなので、漏れはご容赦ください。
 むろんですが、内容の正確性には責任を持ちませんのでご了承ください。
・リンクのない自治体は求人案内へのリンクの見つけられなかったところです。
 ちゃんと丁寧に探せばあるのかもしれませんが、あくまで個人サイトなのでそこは勘弁してください。
 また、その中には、現在医師を募集していない自治体も含まれていますのでご理解願います。
「ここが漏れてるよ」とか内容の誤りに関するご指摘はもちろんありがたく受け付けますが、
 すぐに修正ができるとは限らないのでご容赦ください。

・なお、あくまで個人の趣味による活動ですので、
 所属組織や職場、研究班等とは一切関係ありません。(毎回のおやくそく)

赤ひげ後遺症

後任探し振り出しに…存続危機の診療所、赴任予定の医師が辞退
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191204-00191307-kyt-l26

町がどういう条件を示したのかはわかりませんが、
ちゃんと赴任前に条件の折り合わせをして、最終的にはこういう結論に至ったという意味では
私は、町の対応を評価します。

こういうことすら言わないところが多いので。

また、これが都道府県立だったりすると、
地域の実情を知らない都道府県職員がこういう隠れた部分の説明をせずに(というか出来ず)
結局地元とトラブルになって短期間で辞めていくパターンも耳にします。

私自身は、1~2年スパンの勤務が多かったのですが、
どこに行くにしても、
自分が行った医療を引き継ぐのは誰か? 次の人は同じ医療や同じ勤務、同じ時間外対応ができるのか?
それを常に意識して働いてきたつもりです。

それがその地域の今後にかかわると思ったからです。

地域でよくある話で、
「SAMMY先生は、こんな時間でも文句一つ言わず出てきて診てくれたのに」
「SAMMY先生は、当番じゃなくてもちゃんと診てくれたのに」
それを自分がいなくなった後、住民に言わせたら、失敗です。
厳しいようですが、スタッフにそれを言わせても、やはり失敗です。
(その基準だと、私はひょっとしてどこかで失敗しているかもしれません。まあ、いなくなった後はわかりませんが…)

結果「やろうと思えばまあできないことはないけど、あえてやらない」ということもありました。
(個々の患者対応の話ではなく、システム的な話です。念の為)

逆に、前任との絡みでうまくいかないこともありました。
こういうのは急にやると強いハレーションを起こしますので。

あと、別に地域住民に恨みや悪意を持っているわけでは当然ないので、
ちゃんと「どこまではやるか」を明確にしておくのも大事です。
「ゼロ回答」は相手の態度を硬化させます。

今回の一件では、医師が「ゼロ回答」をしたわけではないので、
まあ交渉決裂といったところなのでしょうが、
入院と老健を一人で24-7で全部やれというのなら、
さすがに町はいろいろ考え直した方がよいとは思いました。

ただ、前任者が高齢とのことでしたが、
一人で本当に全部やっていたのだとしたら、
その先生には申し訳ないけれど、
やはり

「赤ひげ後遺症」

と言わざるを得ない状況かと思います。

医師が個人的な職業倫理として、24-7を掲げることはそれはそれで素晴らしいことかと思います。

しかしながら、
その地域に骨をうずめ、何十年もやっていくというのでなければ
自分がいなくなった後の地域のあり方を考えつつ勤務体制を構築するというのは
ある意味、存在自体が地域のインフラとみなされる、へき地医師の役割でもあると考えます。

 

 

「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)(4終)

承前

4,小規模病院・少人数の医師に支えられる地域医療

今回対象となった病院に勤務する常勤医の数をまとめてみました。
なお、情報ソースは「北海道医療機能情報提供システム」なので、
いくぶん、現状とズレがあるかもしれない部分はご容赦ください。

Photo_20191013190701

54医療機関中、半分以上に当たる28医療機関が
常勤医師3名以下となっています。

とくに常勤医師1名~2名のところでは、
かなり過酷な環境(平日毎日当直とか、万年オンコールとか、盆・正月に1~2日以外地域からほとんど出られないなど)に
なっていることが予想されます。

もちろん各市町村において医師招聘を行うことでこういった事態はその医療機関は解消されますが、
基本的に医師招聘合戦は限られたパイの奪い合いなので、
この事態を最終的に解決するには、やはり「病院」の集約化や、診療所化とサテライト化を並行して行う以外の
解決策は難しいと思われます。

【雑感とまとめ】

・道内の病床機能分化については、各病院・自治体の不信感を払拭すべく努力を継続していく必要がある。

・医師偏在トップ3である、宗谷・根室・日高については、地域枠卒業生等による充足が期待されるが、
 長期的に維持可能な医療体制の構築は未だに課題として残ったまま。

・北海道の、とくに道東・道北における医療機関の集約化は、【広域分散・寒冷積雪】【不便な地域公共交通】
【公立・公的医療機関に依存する医療供給体制】【小規模病院・少人数の医師に支えられる北海道の地域医療】のほか、
 各自治体の抱える事情により決して容易ではない。

・しかし、効率的な医療の提供と、人的医療資源の疲弊防止の観点から、広域的な視点での医療提供体制の再構築は必要。

・そのためには丁寧な議論、住民の理解を得ることと並行して、医療周辺のインフラの整備もこれまで以上に行っていく必要がある。

以下、今回の分析の限界を示します。

・医療機関間距離はGoogleマップの経路検索で機械的かつ手作業でまとめたので、
 実際に予想される患者の受療行動を必ずしも反映しない場合があり得る。
・医療機関同士の距離なので、医療機関がカバーする圏域の広さが反映されない。
・内科標榜医療機関の医師の専門が必ずしも内科とは限らない(他科医の「なんちゃって内科」を除外できない)
・通院の困難さは距離だけでは測れない(鉄道やバスの有無、本数を反映しない)
・有床診でも積極的に急性期を診ている施設もあるが、それを反映していない。
・病床機能のデータが29年7月1日現在である(それ以上新しいデータが未公表)
・軽傷外傷はプライマリの受診先を科や属性で特定することが難しい。
・直近の急性期病院については病床機能報告上のものなので、実際にはもっと近い
 「回復期」「慢性期」病院で急性期入院診療が行われている場合もあり得る。

なお、今回グラフ作成に使用した生データをここからDLできるようにしておきます。
すべて公表されているデータに基づくものなので、ご自由にお使いいただくとともに、
編集の多くは手作業ですので、誤りについてはご容赦ください。
(もし誤りを見つけたら、ブログサイト右下のメールか、コメント欄にご一報いただけると幸いです)

以上ですが、最後に、北海道、とくに道東がどんな世界かを示す
「It's 北海道」というべき画像を提示して本稿を終わります。

Jusco110km
※いろいろなまとめに転用され、原典がわからない画像です。もし、著作権等主張される方がいらっしゃいましたらご一報ください。

«「北海道の医療の実情」とは(病院再編統合に関連した若干の分析)(3)

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック